認知症を引き起こす要因の一つとして、タンパク質の一種である「アミロイドβ」の脳内蓄積があります。
最近の研究でも、糖質の摂り過ぎや特定の種類の脂肪を過剰に摂取する食事が、アミロイドβの蓄積と関連するとわかりました。
本記事ではアミロイドβがどのような食べ物で溜まるのか、アミロイドβを減らすにはどうしたらよいのかなどを解説します。
認知症予防のために意識したい食材・食生活のポイントについても紹介するので、親の認知症を未然に防ぎたい方は参考にしてみてください。
アミロイドβが溜まる食べ物1:糖質を多く含む高GI食品
アミロイドβが溜まる一因として考えられているのが、血糖値を急激に上昇させる「高GI食品(高グリセミック指数食品)」の摂り過ぎです。
以下では、日常の食卓で高GI食品に該当しやすい食品について解説します。
高GI食品の例1. 白米やパンなどの主食
白米や食パンなどはエネルギー源として欠かせないですが、GI値が高く食後の血糖値を急激に上げやすい食品です。
血糖値が上がると分泌されるインスリン分解酵素は、アミロイドβ分解の役割も担っています。
そのため、インスリン処理が優先されるとアミロイドβが脳内に残ってしまう可能性があります。
さらに、血糖値が急激に上下する状態が続くと、アミロイドβが蓄積しやすくなるため注意が必要です。
高GI食品の例2. じゃがいもや人参などの糖質を含む野菜
じゃがいもや人参、カボチャなどの野菜はビタミンや食物繊維が含まれているため、健康的なイメージを持ちやすい野菜です。
しかし、これらの野菜は糖質が多く含まれるGI値が高い食材であるため、アミロイドが溜まりやすい傾向にあります。
たとえば、カボチャやとうもろこしは、調理法によってさらにGI値が上昇するケースは珍しくありません。
野菜でも糖質を多く含む場合は、急に摂取すると血糖値が一気に上昇し、アミロイドβが蓄積しやすくなります。
もちろん、多量の野菜摂取は悪いことではありません。
ただし、糖質の多さや調理方法に気を配ると、より安全で血糖コントロールがしやすくなります。
高GI食品の例3. 砂糖・甘味料が含まれる食べ物
砂糖を多用した食品は血糖値を急激に上げやすく、インスリンの過剰分泌やインスリン抵抗性を招く要因になります。
砂糖の過剰摂取は慢性炎症を引き起こし、アミロイドβが作られやすくなる恐れがあります。
また、糖分が多いとアミロイドβ蓄積に関与している神経細胞に対するダメージが大きくなりやすいため注意が必要です。
清涼飲料水や甘いスナックなどに手が伸びがちな方は、まず量や頻度を見直してみましょう。
アミロイドβが溜まる食べ物2:脂身が多い肉や揚げ物などの高脂肪食品
高GI食品と並び、アミロイドβの蓄積リスクを高めると考えられるのが高脂肪食品です。
とくに飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多い高脂肪食品は、体内でアミロイドβ分解に関わる正常な代謝を阻害します。
以下では、アミロイドβを溜めないために注意すべき高脂肪食品はどのようなものがあるかを解説します。
高脂肪食品の例1. 脂身が多い肉
豚バラや霜降り牛肉、鶏皮など、飽和脂肪酸が豊富な脂がたっぷり付いた肉も注意が必要です。
肉の脂は美味しさの源ですが、過剰摂取は血中コレステロール値が上がり、脳内の炎症反応リスクが高まります。
脳内の血管で慢性的に炎症が発生している状態は、アミロイドβの生成や蓄積が進行しやすい状態です。
認知症予防のためには脂身が多い肉やハムのような加工肉や牛タン、鴨肉などを控えましょう。
高脂肪食品の例2. チーズやバターなどの乳製品
チーズやバター、生クリームといった乳製品は、カルシウムやタンパク質を摂取できる半面、飽和脂肪酸が多い食材でもあります。
スイーツに多く含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取は、脂質バランスを乱し、脳血管の健康状態を悪化させる一因になりがちです。
その結果、脳内に慢性的な炎症が起こりやすくなり、アミロイドβの助長する環境を作り上げてしまうリスクがあります。
チーズやバターを絶対避けるのは難しい場合もあるため、量を控えたり、低脂肪・無脂肪に代用したりする工夫が大切です。
高脂肪食品の例3. フライドポテトや唐揚げなど揚げ物
揚げ物は高温調理の過程で油が酸化するため、体内に有害な酸化脂質を取り込みやすい料理です。
酸化脂質は血管や脳にダメージを与えやすく、脳の炎症を引き起こしやすく、アミロイドβが蓄積する一因と考えられています。
また、揚げ物は脂質と炭水化物の組み合わせであり、肥満やインスリン抵抗性を促進するリスクも少なくありません。
肥満と高血糖が重なると、認知症だけではなく、糖尿病のリスクも高まるため、揚げ物を控えるよう意識するのが理想的です。
高脂肪食品の例4. アーモンド・カシューナッツなどナッツ類
ナッツ類は一見ヘルシーなイメージがありますが、脂肪分が多く高カロリーな食品だと忘れてはいけません。
アーモンドやカシューナッツは適量であれば不飽和脂肪酸のメリットがある食品です。
しかし、過剰に摂取するとエネルギー過多で体重増加や内臓脂肪の蓄積につながります。
そして、血糖値を下げるために必要なインスリン量が増え、脳内にアミロイドβが溜まりやすくなってしまいます。
健康に良いとされるナッツでも摂り過ぎには注意し、ひと握り程度の適量を目安にしましょう。
高脂肪食品の例5. トランス脂肪酸が多い食品
マーガリンやマヨネーズ、市販のドレッシングなどはトランス脂肪酸が多く含まれており、アミロイドβが蓄積しやすい食材です。
また、トランス脂肪酸はスナック菓子やファーストフード、菓子パン、カップ麺、冷凍食品などにも多く含まれています。
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、心筋梗塞や脳内の炎症リスクが高まり、アミロイドβが蓄積しやすい物質です。
九州大学の研究では、トランス脂肪酸を摂り過ぎると認知症リスクが高まるとわかりました。
認知症を予防する場合は、なるべくトランス脂肪酸が多い食事は控えましょう。
アミロイドβが溜まりにくくなる食べ物は?
逆に、アミロイドが溜まりにくくなったり、減りやすくなったりする食材や栄養素も存在します。
たとえば、ほうれん草やオリーブオイルなどは、日常の食事でも取り入れやすいアミロイドβが溜まりにくくする食材です。
では実際にどのような食材がアミロイドを溜まりにくくするのか、大きく6つにわけて紹介します。
DHA・EPAなどが含まれる魚介類
サバやイワシ、鮭などの魚には、不飽和脂肪酸であるDHAやEPAが多く含まれる食材です。
DHAやEPAは脳において重要な脂肪酸であり、脳内の炎症を和らげてアミロイドβの蓄積を抑える働きが期待できます。
また、DHAはアミロイドβの蓄積を抑制し、脳への定着を阻害する働きがあると研究で明らかになっている成分です。
さらに、脳への酸素・栄養の供給を助けるとも言われているため、献立を考える際は週に数回は魚を選択肢に入れてみましょう。
抗酸化物質やビタミンを含む緑黄色野菜・果物
酸化物質やビタミンを多く含む野菜や果物は、認知症予防に効果的です。
たとえば、ビタミンC・Eといった抗酸化ビタミンやポリフェノールなどを含む緑黄色野菜や果物は、以下のようなものがあります。
- ほうれん草:ルテインやゼアキサンチン、β-カロテンなどの抗酸化物質
- ブロッコリー:ビタミンCやE、フィトケミカル
- トマト:リコピンやビタミンC
- 人参:β-カロテンやビタミンC
- イチゴ:ビタミンCやポリフェノール
- ブルーベリー:ポリフェノールやビタミンC
- キウイ:ビタミンCやポリフェノール
- ブドウ:ポリフェノールやビタミンC
- リンゴ:ポリフェノールやビタミンC
抗酸化ビタミンやポリフェノールは、脳細胞が受けるダメージやアミロイドβの蓄積を軽減する効果があると考えられています。
また、食物繊維を多く含むため、血糖値の急上昇を抑えやすく、同時に生活習慣病の予防をにも効果的です。
味噌や豆腐などの大豆食品
味噌や豆腐、納豆といった大豆製品には、良質なタンパク質とイソフラボンが含まれています。
イソフラボンは、ホルモンバランスを整えるだけでなく、血中コレステロールを下げる効果もあると言われている成分です。
大豆食品への置き換えは、豆腐ハンバーグのように肉の脂身を豆腐に置き換えたり、朝食には味噌汁と納豆を用意したりなどがあります。
小さな置き換えを重ねて血中コレステロールを下げ、同時にアミロイドβが蓄積しにくい状態を目指しましょう。
ウコンやシナモンなどの香辛料・ハーブ類
ウコン(ターメリック)に含まれるクルクミンや、シナモンはアミロイドβの凝集を阻害する効果があると研究でわかっています。
また、ハーブであるローズマリーに含まれるポリフェノールにも、アミロイドβの蓄積を抑制する効果が報告されています。
このように香辛料やハーブ類は抗炎症・抗酸化作用が期待できるため、日々の料理に少量ずつ取り入れてみましょう。
オリーブオイルやナッツ類
オリーブオイルやナッツ類に含まれている良質な不飽和脂肪酸は、体内の炎症を抑えて血管を健康に保つ働きがあります。
また、ビタミンEなどの抗酸化物質が、アミロイドβの蓄積をゆるやかにする可能性も期待できます。
ただし、先述のようにナッツ類は高カロリーな食材であるため、摂取する際は「適量」の習慣化が大切です。
緑茶や赤ワインなどポリフェノールが豊富な飲み物
緑茶に含まれるカテキンや赤ワインに含まれるポリフェノールは、アミロイドβの生成や蓄積を防ぐ効果があると言われています。
NILS-LSAが分析したところ、緑茶を1日1杯以上飲んでいる60歳以上の人は、1日1杯未満の人よりも約30%認知機能の低下リスクが低いとわかりました。
また、適度な量の緑茶や赤ワイン、あるいはカフェインを含むコーヒーなどは、神経細胞の保護や炎症の抑制につながります。
ただし、過剰なアルコール摂取は逆効果になるため注意しましょう。
アミロイドβを溜めない食生活改善のヒント
アミロイドβの蓄積を防ぐには、まず低糖質を意識した食事を目指す必要があります。
以下では、普段の献立を考えるときに使える、具体的な食事改善のアイデアを紹介します。
お米や麺類などの主食を低糖質のものに置き換える
白米や精白小麦製品は私たちの食生活に馴染み深いですが、血糖値が急上昇しやすくアミロイドβが溜まりやすくなる食材です。
たとえば、日常生活では食材を以下のように置き換えると、血糖値のコントロールをしやすくなります。
- 白米⇒玄米、雑穀米入りの白米
- うどん⇒そば、豆腐(大豆)麺
- 中華麺⇒こんにゃく麺やしらたきなどをベースにした低糖質麺
- パスタ⇒糖質が削減されている低糖質パスタ、糖質ゼロ麺
最初は味や食感、ボリュームに慣れず違和感を覚えるかもしれません。
ですが、食べ続けると徐々に慣れる方が多いと言われています。
関連記事:咀しゃくしやすい介護食を作るには?考え方のポイントと基本の作り方
緑黄色野菜やベリー類を多く摂取する
野菜の摂取目安としては1日350g以上、果物は1日200g程度が推奨されています。
ただし、認知症予防を目的とするなら、抗酸化物質が多い緑黄色野菜や、ベリー系の果物を優先的に摂取するのが理想的です。
とくに緑黄色野菜はビタミンや抗酸化物質が豊富で、果物の中でもベリー類はポリフェノールが多いためおすすめです。
また、サラダにオリーブオイルと酢をベースにしたドレッシングを使えば、抗酸化成分の吸収率を高められます。
間食でお菓子やパンを食べがちな方は、まず果物やヨーグルトに置き換え、血糖値の乱高下を抑えてみましょう。
バターやマヨネーズを避けオリーブオイルやキャノーラ油を使う
バターやマヨネーズには飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多く含まれており、脳内でアミロイドβが蓄積しやすくなります。
認知症予防を意識している際は、抗酸化作用があるオリーブオイルやキャノーラ油を使うのがおすすめです。
オリーブオイルに含まれるポリフェノールは酸化ストレスを抑え、アミロイドβの毒性を軽減する効果があります。
また、キャノーラ油にはビタミンEが豊富に含まれており、脳の酸化ダメージを防ぐ効果も期待できます。
アミロイドβが溜まる食べ物を避けて認知症を予防しよう
アミロイドβは脳内に過剰に溜まると認知症の一因になります。
そして、アミロイドβの蓄積に大きく影響を与えるのは、毎日の食生活です。
糖質が多い高GI食品や高脂肪食品は、血糖値やコレステロールの数値を急上昇させやすく、アミロイドβが蓄積する一因になりがちです。
一方で、DHAや抗酸化物質を豊富に含む食品を取り入れれば、アミロイドβが溜まりにくく、認知症リスクが低い状態を目指せます。
食事は毎日の習慣だからこそ、少しの意識改革が長期的な認知症予防に効果的です。
ぜひ本記事を参考に、アミロイドβが溜まりにくく、バランスも良い食生活を実践してみてください。

この記事の監修者
いいケアネット事務局
突然倒れた、転んで頭を打ったなど、ご自身やご家族の介護を身近に感じるきっかけはそれぞれです。 いいケアネットでは、いざという時のために役立つ介護の知識や介護施設についてご紹介します。