「住宅型有料老人ホームの入居費用っていくらかかるの?」「多額の入居費用を払って早く退居になったらどうなるの?」と不安な方も多いでしょう。 住宅型有料老人ホームの入居費用は、
0〜数千万円と施設ごとで大きく異なります。 入居費用不要の住宅型有料老人ホームもありますが、それぞれのメリット・デメリット、入居する年数によって適切な判断が必要です。 また入居費用の返還制度もありますので、万が一のときに備えて知識を持っておきましょう。 今回は「住宅型有料老人ホームの入居費用(初期費用)」「入居費用の有無による入居費用(初期費用)の違い」「入居費用の返還制度」「保全措置」について解説します。 この記事で、住宅型有料老人ホームの入居費用に関する予備知識を身に付けましょう。
住宅型有料老人ホームの入居費用(初期費用)は2種類
住宅型有料老人ホームの入居費用(初期費用)は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 入居費用(入居一時金)
- 敷金
すべてを支払うわけではなく、老人ホームごとに設定された料金プランによって、どちらかを支払います。 それぞれの内容を詳しく説明していきます。
入居費用(入居一時金)
入居費用は入居一時金と呼ばれることもあります。 住宅型有料老人ホームに入居する際、
老人ホームを利用する権利(利用権)を取得するための費用として支払う費用です。 数年分の賃料のうち一部を一括前払いします。 償却期間が異なったり、高級・超高級施設では賃料が高額になったりして、金額は0〜数千万円と老人ホームごとで大きく金額が異なってきます。
敷金
老人ホームによっては、入居費用不要の料金プランを設けているところもあります。 ただし、代わりに敷金(保証金)が発生する場合があります。 賃貸物件の敷金と同じイメージで、退去時の原状回復費に充当される費用です。 こちらも金額は老人ホームごとで異なりますが、
6ヶ月分が上限として定められています。
住宅型有料老人ホームの入居費用・入居費用(初期費用)はいくら?
住宅型有料老人ホームの入居費用(初期費用)は、老人ホームにより異なります。 入居費用の金額や、入居費用の有無によっても入居費用(初期費用)が大きく変わります。
入居費用ありの場合
老人ホームにより大きく異なりますが、一般的には60ヶ月分の賃料の一部を一括で前払いするケースが多いです。 老人ホームによっては84ヶ月分(7年)や120ヶ月分(10年)のところもあり、入居費用(初期費用)は多額になるでしょう。 しかし、入居費用を支払うと月額費用が抑えられるので、
すでに長期の入居が決まっている場合は結果的に安くなります。 また、前払いした年数を超えて入居することになっても追加金は必要ないため、長期的にみれば入居費用を支払ったほうがお得です。
入居費用なしの場合
入居費用なしで入居する場合は、6ヶ月分を上限とした敷金を支払うことが多いです。 入居費用(初期費用)は抑えられますが、賃料の前払いをしない分、月額費用が割高になります。 特養の入居待ちや、かなり高齢で
長期の入居を見込んでいないようなケースでは、入居費用なしで入居する方が多いようです。
入居費用は返還制度がある
長く入居するつもりで入居費用を支払ったのはいいけど、想定していた年数より早く退居しなければいけなくなる場合もあるでしょう。 もし、前払いした年数より早く退居しなければいけなくなった場合、すでに支払った入居費用は返ってこないのか不安になりますよね?
不測の事態により退居せざるを得なくなった場合でも、次のような返還制度があります。
- クーリングオフ
- 初期償却
これらの返還制度とあわせて、返還金の目安も解説していきます。
クーリングオフ
入居の契約から90日以内なら、クーリングオフが適用できます。 本人を説得して入居したつもりでも、すぐに退居を希望されたり、別の老人ホームへ入居したくなったりするかもしれません。 不測の事態により退居しなければならなくなっても、クーリングオフの申し出をすれば返金されます。 しかし、日割賃料が控除されて返還となる場合もありますので、全額が戻ってくるとは限りません。
初期償却
入居費用は各老人ホームが定めた一定期間、毎月の賃料に充てられます。 老人ホームが定めた期間を『償却期間』といい、毎月の賃料に充てることを『償却』といいます。 ここでは、わかりやすく100万円の入居費用を支払い償却期間が10年だったとしましょう。 毎月の賃料を支払い1年で10万円ずつ償却されていくとすると、5年で退居した場合は残りの50万円が返金されます。 償却期間より早く退居することになっても、
使われなかった入居費用を返金する仕組みです。 償却期間は施設により異なり『数年〜10年以上』と大きな違いがあるので、入居の際に確認しておきましょう。
返還金の目安
返還金は次の計算式により算出されます。 【入居費用×(1-初期償却率)÷償却月数×残り月数】 具体的に次のような条件で数字を入れてみましょう。
- 入居費用:300万円
- 初期償却率:20%
- 償却月数:60ヶ月(5年間)
入居後10ヶ月で退居になった場合で計算してみます。 【300万円×(1-20%)÷60ヶ月×(60ヶ月-10ヶ月)】=200万円 200万円が返還される計算です。 老人ホームによっては償却の対象となる費用が異なるケースもあるため、契約時に返還金について確認しておきましょう。
老人ホームが倒産したら入居費用はどうなる?
本人の都合だけではなく、老人ホーム側の経営不振による倒産の可能性がないとも言い切れません。 老人ホームの倒産により退居を強いられる状況になってしまった場合でも、多額の入居費用が無駄にならないような救済措置があります。 この救済措置を『保全措置』といいます。 最後に、保全措置について解説していきましょう。
保全措置とは?
保全措置とは、住宅型有料老人ホームが経営困難・倒産した際に入居費用が返還される仕組みです。 老人福祉法第29条第7項に基づき、2018年4月以降、入居費用を設定している有料老人ホームは原則的に保全措置を講じることになっています。 (参考:
保全措置の仕組み
保全措置は、住宅型有料老人ホームが金融機関・信託会社・保険事業者との契約により、最大500万円まで返還金を保障します。 対象となるのは未償却分ですので、倒産した時点での返還金が保障される仕組みです。
安心して住宅型有料老人ホームに入居するためには、保全措置が必須です。 入居予定の老人ホームで保全措置が講じられているか、契約書や重要事項説明書を必ずチェックしておきましょう。
まとめ
入居費用は住宅型有料老人ホームによって金額が異なりますが、0〜数千万円かかります。 なかには入居費用不要のプランを用意している住宅型有料老人ホームもあります。 入居費用の有無は、それぞれメリット・デメリットがあるので、想定している入居期間によって決定しましょう。 長期入居がすでに決まっている場合は入居費用あり、短期での入居なら入居費用なしのほうがお得になることが多いです。 また、想定より早く退居する場合でも、支払った入居費用が返還される制度が用意されています。
特に、保全措置は万が一のときでも入居費用の返還を保障してくれる制度ですので、契約時に必ず確認しておきましょう。 入居費用について理解を深めておくと、ご家族・本人ともに安心して入居生活を送れます。 有料老人ホームの入居費用について、さらに詳しくまとめた記事もありますので、あわせて参考にしてください。 【関連記事:
有料老人ホーム入居の一時金(前払金・入居費用・敷金)や月額費用、契約について】 この記事や関連記事を参考にしていただき、より良い方法を見つけていただければ幸いです。 もちろん
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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