身体が不自由な人、病気療養中につき入浴が大変な人、要介護の人などには、手浴・足浴を試してみるのがおすすめです。全身の入浴に近い効果が期待できるほか、寝付きが悪いときに行うと快眠効果を得られることもあります。ここでは、手足・足浴の効果や必要なもの、注意点、手順などについて詳しくご紹介します。
手浴とは
手浴(しゅよく)とは、手の入浴のことです。心臓に近い部位のため、手浴で温めることで心臓への血流が促され、全身を素早く温められます。手は、脳が緊張していると冷たくなるため、ストレスを感じている人にこそ必要なケアです。それでは、手浴に必要なものや注意点、手順などについて詳しく見ていきましょう。
必要なもの
手浴に必要なものは次のとおりです。
- 洗面器
- バケツ
- ピッチャー又はやかん(かけ湯用)
- 防水用のシートやビニール
- せっけん
- タオル
石けんは全身浴に使用しているもので問題ありません。
注意点
手浴は、全身浴と比べて身体への負担が少ないケアですが、それでも次のような注意を払う必要があります。
- 順次、声かけしながら洗っていく
- 仰向けや横向きなど本人が楽な姿勢で行う
- お湯の設定温度は40℃程度
- 最初は32℃程度のお湯をかけて徐々に慣らす
手順
それでは、手浴の手順を詳しく見ていきましょう。
- 1.本人が楽な姿勢をとる
- 2.防水シートやビニール、バスタオルを敷いて、手を入れる高さや位置にお湯を入れた洗面器を置く
- 3.そでをめくって濡れないようにする。まずは手首までゆっくりお湯に浸してマッサージする
- 4.手を支えながら石けんをつけたタオルで洗う
- 5.泡を軽く落としてから洗面器のお湯を交換する
- 6.泡を十分に洗い流す
- 7.乾いたタオルで手の水滴を取り除く
手浴のあとは爪が柔らかくなっているので、爪切りをしてもよいでしょう。また、乾燥肌の人は、化粧水やクリームなどで保湿ケアをしてください。
足浴
足浴は、手を温めたりマッサージしたりして心臓への血流を促すケアです。足は心臓から最も遠い部位のため、血流が滞りやすい傾向にあります。また、冷えやむくみによって足がだるくなったり、眠りにつきにくくなったりする場合もあります。
足浴の血流促進効果によって、むくみや冷えの解消、睡眠の質の向上などが期待できるでしょう。また、足に溜まった汚れや雑菌などを取り除く効果も期待できます。それでは、足浴に必要なものや注意点、手順などについて詳しくご紹介します。
必要なもの
足浴を行う際は、次のものを用意しましょう。
- 洗面器
- バケツ
- ピッチャー又はやかん(かけ湯用)
- 防水用のシートやビニール
- せっけん
- タオル
- 軽石
注意点
足浴は手浴と同じく全身浴よりは身体への負担が軽いケアですが、次のようなことに注意が必要です。
- 順次、声かけしながら洗っていく
- 食事の前後1時間は避ける
- 本人が楽な姿勢で行う
- お湯の設定温度は40℃程度
- 足首が隠れる程度の量のお湯を洗面器に張る
手順
足浴は、次の手順で行いましょう。
- 1.本人が楽な姿勢をとる
仰向けの場合は衣類をひざ上まであげて、ひざ下にクッションやバスタオルを丸めたものを入れる - 2.防水シートやビニール、バスタオルを敷いて、足首の上まで浸かる程度の量のお湯を洗面器に張る
- 3.すそをまくり上げて濡れないようにする。足首まで浸して15程度軽くマッサージする
- 4.足が十分に温まったら、石けんをつけたタオルで指先から洗う
- 5.足の裏の角質が厚くなっている場合は、軽石で軽くこする
- 6.お湯を交換して、泡を十分にすすいでピッチャーでかけ湯する
- 7.タオルで足についた水滴をしっかり取り除く
手浴・足浴のメリット
手浴・足浴には、全身浴にはない次のようなメリットがあります。
短時間で行える
手浴・足浴は、全身浴と比べて短時間で行えます。ケアする側とされる側の両方の負担を抑えられます。
身体への負担が少ない
全身浴は、全身の血流が大きく促され、ときには心臓に負担がかかります。そのため、高血圧症の人は半身浴が推奨される場合もあります。手浴・足浴は全身浴と比べて身体への負担が少なく、比較的安全に行えることがメリットです。
誰でも行える
要介護の人の全身浴には介護技術が必要です。手浴・足浴は、普段から介護をしていない方でも簡単に行えます。介護する人が行うことが難しい状況であれば、周りの人が代行できるでしょう。自宅療養中の際には、家族が手浴・足浴を行うことも可能です。
まとめ
手浴・足浴は、手足の心臓への血流を促すことで、冷えやむくみなどを解消するケアです。日常的に行うことで、身体を良好な状態に保ちやすくなります。全身浴と比べてケアする側とされる側の負担が少なく、限られた時間の中でも行いやすいでしょう。この機会に、手浴・足浴を取り入れてみてください。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
突然倒れた、転んで頭を打ったなど、ご自身やご家族の介護を身近に感じるきっかけはそれぞれです。 いいケアネットでは、いざという時のために役立つ介護の知識や介護施設についてご紹介します。