有料老人ホームに入居すると、施設により生活支援サービスと介護サービスを受けられ、主なサービスはこのように分類されます。
介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | 健康型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 | |
---|---|---|---|---|
食事の提供 | ○ | ○ | ○ | △ ※外部サービスを利用 |
洗濯や掃除など生活支援 | ○ | ○ | ○ | △ ※外部サービスを利用 |
入浴や排泄など介護サービス | ○ | △ ※外部サービスを利用 |
✕ | △ ※外部サービスを利用 |
レクリエーション | ○ | ○ | ○ | △ ※外部サービスを利用 |
安否確認・緊急時の対応 | ○ | ○ | ○ | ○ ※安否確認 |
有料老人ホームに入居すると「生活全般のサービス」を受けることができます。
また、介護が必要になった場合は「介護サービス」も居室で受けることがでます。
ホームは「医療機関からの協力」を義務付けられています。
生活全般のサービスについて
生活支援サービス | 日常生活をより充実して頂くためのサービス。 それぞれのホームの特色を生かしたサービスを提供しています。 ○フロントサービス(郵便・宅配の取次ぎなど) ○買い物、手続き代行(銀行・税務の手続きなど) ○家事サービス ○セキュリティコール 他 |
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食事サービス | 毎日、レストラン・食堂での食事サービス。 栄養バランスに配慮した食事をレストラン、食堂、居室で楽しんでいただけます。 ○1日3食 ○特別メニュー |
健康管理サービス | 入居者の健康の維持・増進のためのサービス ○定期健康診断 ○健康相談 ○医療機関緊急連絡体制 |
各ホームでサービス内容が異なります
生活支援サービスの内容
生活支援サービスは居室清掃、衣類洗濯、買い物代行、来訪者の受付・案内、見守りなどのサービスです。日常生活の援助といったサービスで、もともと月額費用に含まれているサービスもあれば、必要に応じてオプションという形で追加可能な施設もあります。
例えば、介護付き有料老人ホームでは月額料金に含まれますが、サービス付き高齢者向け住宅では含まれないことがあり、入居者が外部の事業者と別途契約することで生活支援サービスを受けます。
居室清掃は施設スタッフや専門の清掃業者が掃除機をかけたりモップの水拭き、洗面台やトイレの掃除などを定期的に行います。
衣類の洗濯もお任せできますが、洗濯機が設置されている施設ではご自身で洗濯もできる場合もあります。
買い物代行はスタッフが入居者の代わりにスーパーなどでご指定のお品物を購入してくるサービスです。介護付き有料老人ホームでは週に1回無料で買い物代行を実施するなどありますが、買い物代行1回に付き1,000円が発生する施設など費用面は施設により異なります。
コンシェルジュやフロントサービスは、来訪者応対のほか、電話・郵便物・宅配便の取次や配車手配を行い、手続代行として銀行手続きなども代行可能です。
見守りサービスは、日中や夜間など定期的にスタッフが、入居者に急変やお困りごとがないか巡回します。定期的な巡回があるため、安心して過ごせます。
食事サービスの内容
民間施設である有料老人ホームではこだわった美味しい食事を提供する施設が多くあります。食事サービスは朝昼晩の3度の食事提供と、施設によりおやつも該当します。
食事は管理栄養士がカロリーや栄養面を考慮しており、施設内で調理した手作りご飯か、専門の外部事業者が調理した食事が提供されます。中には専属シェフがいるレストランもあります。
どのような食事が提供されるかは施設ごとに異なりますので、施設見学時に確認するとよいでしょう。
また、和食と洋食を選べるセレクト食や、クリスマスやひな祭りなどイベントや季節を感じられる工夫がされています。お食事は居室やレストラン、食堂などでとります。
施設によりおやつの提供もあります。15時頃におやつが配膳され、日々の楽しみの一つとされる入居者もいらっしゃいます。おやつはただ甘いものを食べるだけでなく、食事の補助や栄養補給という側面もあります。もちろん咀嚼や嚥下機能に合わせたおやつが提供されます。
ちなみに、有料老人ホームで配膳される食事やおやつ以外にも、ご自身や家族が購入されたお菓子をお好きな時間に召し上がることもできます。ただし、お身体の状態により主治医から指示を受けている場合や、誤飲食やトラブル防止のため持ち込みを制限するケースもあります。
そして高齢となると嚥下能力や噛む力に合わせた食事も重要です。入居者の状態に合わせ、食材を刻んだり、とろみをつけるなど食べやすい工夫がされています。
このような食事は刻み食やソフト食、介護食、治療食など様々な呼び方がありますが、どの程度まで対応しているかは施設により異なります。
一口食 | 食事を一口サイズに切れない場合やかたい食事が難しい場合、一口サイズに食べやすいした食事。 |
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刻み食 | 嚥下に大きな問題はないものの咀嚼が弱くなった場合、食事を刻んだりとろみをつけ食べやすくした食事。 |
ソフト食 | 刻み食ではむせてしまうなど咀嚼と嚥下能力が弱い場合、ミキサーにかけて固めたり、やわらかく煮込み舌と上顎で押しつぶせる食事。 |
ミキサー食 | 噛む力と嚥下能力がかなり弱い場合、食材をミキサーにかけペーストなど液状に近くした食事。白米はゼリー粥となる。 |
食事をうまく飲み込めなくなると誤嚥だけでなく、食事量が減り健康面にも影響が出ます。そのため、栄養バランスやカロリー計算され嚥下機能にも合った食事がシニアライフには重要です。
介護食ではミキサー食、ソフト食、刻み食などがあります。お肉や野菜など口の中でバラバラになり食べづらいものはとろみをつけて食べやすく工夫します。また、飲み物をゼリー状にやわらかく固めた水分補給食や、嚥下機能がより低下すると嚥下食や流動食もあります。
そして腎臓病や糖尿病、透析など病状に合わせた治療食もあります。塩分やカリウム、タンパク質、脂肪、エネルギーなどを調整した食事で、多くの老人ホームで対応しています。アレルギーがある場合は代替食対応もあります。
健康管理サービスの内容
健康管理サービスは定期的にバイタルチェックを行い体調不良がないか確認したり、レクリエーションを通して入居者の健康サポートを行います。ご本人では気づきづらいちょっとした変化もスタッフが気づいたり、健康相談に対応することも可能です。
また多くの施設で導入されているレクリエーションも健康の維持に役立ちます。レクリエーションは無理のない範囲で体操を行い、ゲームや創作活動、おやつ作り、季節ごとの行事など様々なアクティビティがあります。
一見簡単そうに見えるゲームも、脳機能や身体機能の活性化に繋がり、入居者同士コミュニケーションの促進にもなります。レクリエーションはアクティビティカレンダーや予定表など1ヶ月のレク予定を事前に知ることも可能です。
さらに、介護付き有料老人ホームでは理学療法士などの専門スタッフによるリハビリを受けられる施設もあります。どの程度のリハビリに対応できるかは施設ごとに異なります。
そして、提携医療機関で定期健康診断を行ったり、緊急時は提携医療機関と連絡を取り万全の体制で健康サポートを行う施設もあります。有料老人ホームの中には全室にナースコールを設置したり、同じ敷地内に系列病院があるなど医療体制に強い施設もあります。
医療体制が厚い施設では、たん吸引や胃ろうなど医療的ケアにも対応しています。医療的ケアも施設選びで重要なポイントです。
今現在は自立した生活ができても、いつか介護レベルが上がり、酸素吸入やたん吸引が必要となることがあります。将来に備え、自立や軽度の介護状態の段階から医療的レベルの高い施設に入所する選択肢もあります。
有料老人ホームに付帯する施設
有料老人ホームの中には売店、理容室、麻雀ルーム、カラオケルーム、コンシェルジュ、大浴場、温泉、庭園、畑など充実したシニアライフを送るための施設が併設されていることもあります。居室から海が見えるオーシャンビューの部屋があったりと施設ごとに特色があるため、気に入った施設を見つける楽しみもあります。
また、家族がご宿泊できるファミリールームがある施設もあります。入居者とゆっくり過ごされたいときに利用します。事前に予約することで、家族やご友人とファミリールームで一緒に食事をとることもできます。
そして、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では介護サービスを外部事業者と契約する必要がありますが、施設により敷地内や棟内に通所介護施設や訪問介護事業所などがあります。
その場合は居室からすぐ近くの介護サービス事業者と契約でき、利便性も良いというメリットがあります。
介護サービスについて
有料老人ホームでの介護サービスは介護保険が適応されるサービスと適用されないサービスの2つに分かれます。さらに、利用できる介護保険サービスは家事援助など行う生活援助サービスと、入居者の体に直接触れて介助する身体介護サービスに分かれます。
介護保険が適応されるサービスを受けるには要介護・支援状態にある65歳以上の高齢者か、40歳から64歳までの特定疾患の患者が対象です。誰でも即日で受けられるサービスではなく、どのくらい介護が必要か聞き取り調査と主治医の意見書をもとに判定された要介護認定や被保険者証をもとにサービスを利用します。
そのため、65歳以上であっても浴槽の掃除を1人で行えるなどアクティブに自立した生活ができる場合は原則介護保険サービスを受けられません。その場合は保険適用外の介護サービスや生活支援サービスを利用します。
生活援助サービス | ○居室の掃除 ○洗濯 ○ベッドメイク ○衣類の整理・補修 ○調理・配膳片づけ ○買い物・薬の受け取り ○生活に関する相談 など |
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身体介護サービス | ○食事や排せつの介助 ○清拭・入浴介助・身体整容 ○体位変換、移動・移乗の介助 ○外出・通院などの介助 ○服薬の確認 ○自立生活支援のための見守り的援助 |
各ホームでサービス内容が異なります
※介護サービスを受けるために必要な「介護保険」について詳しくは「有料老人ホームと介護保険について」をご覧ください。
生活援助サービスの内容
※介護保険を利用する場合
入居者の代わりに日常生活で必要な家事を代行するようなサービスを生活援助サービスと言います。身体介護サービスと違い、利用者に直接触れないという特徴があります。
主なサービスは居室清掃、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理整頓、お食事の調理・配膳・片付け、お買い物やお薬の受け取りなどです。一通りのサポートが受けられますので、安心して有料老人ホームで過ごせます。
例えば、居室は快適に過ごせるよう換気や室温調整、ゴミ出しやトイレの清掃、シーツや布団カバーの交換などを行います。
また、こういうことはできる?という生活の相談も受け付けており、疑問や問題が解決するまでサポートも受けられます。
身体介護サービスの内容
※介護保険を利用する場合
身体介護サービスは食事や排泄、入浴の介助、体位交換、通院の介助など入居者に直接触れて行う介助です。その他にも自立支援や重度化防止、専門知識を持って行うサービスも行います。
日常生活で必要な動作のサポートを受けられますが、そのサービス内容は多岐にわたります。入居者の健康状態により必要なサポートは異なりますので、お一人お一人に合わせた身体介護サービスを受けます。
入居者に直接触れて行うサービス | 食事・服薬介助、入浴・更衣・排泄介助、起床就寝介助、体位変換、清拭、身体整容、移動・外出介助 など |
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自立支援や重度化防止のためのサービス | 全て介助するのではなく、見守りながら必要に応じて援助すること |
専門知識を持って行うサービス | たん吸引など医療行為 |
排泄介助ではトイレへの移動から汚れた衣類の処理、おむつ交換など行い、衣類介助では着替えの介助やスリッパや靴を履くサポートが受けられます。起床や就寝時も気温により掛ふとんを調整し、ベッドへの移動や気分の確認まで行います。
また、入浴に際し介助が必要な場合、介護士の介助サポートを受けて入浴できます。入浴前は体温チェックで発熱などないか確認してから入浴するというケースもあります。
一方で、重度化防止のため見守り援助も行います。トイレの利用時など、スタッフが全て介助するのではなく、必要に応じて介助を行います。入居者が日常生活動作を施設スタッフと一緒に行うことが、自立支援や重度化の防止に繋がるというケアプランです。もちろん、見守り援助は入居者の安全を確保し、施設スタッフがいつでも介助できる状態で行います。
なお、身体状況により下記のような医療的ケアが必要な場合は、有料老人ホーム内で対応可能な施設を見つける必要があります。施設により対応可能な範囲が異なります。
- インスリン投与
- 胃ろう
- 鼻腔栄養
- 中心静脈栄養
- たん吸引
- 気管切開
- 在宅酸素・酸素吸入
- 認知症
- 人工透析
- 人工肛門
- ペースメーカー
- 尿道バルーン装着
- ストマ装着
- 褥瘡
医療機関からの協力について
有料老人ホームでは、医療を行う医療機関ではありませんが、健康管理や緊急時の対応など、ホームの提供されるサービスは、医療と密接な関わりをもっています。このため、有料老人ホームでは嘱託医や協力医療機関を定め、医療面のサポートをしています。
例えば、提携の医療機関による健康診断や健康相談が受けられ、必要に応じて診察を受けられます。医療機関の受診といえば体調不良時を想定しますが、入れ歯のため歯科を受診することもあります。なお、医療費はご本人が負担することになります。
また施設によっては提携医療機関が同じ敷地内や建物にあるケースがあり、低層階が病院、上層階に有料老人ホームという施設もあります。病院以外にもデイサービスや訪問介護事業所を併設していることもあり、医療面が充実した施設をご希望の場合は提携医療機関の確認も重要です。
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