高齢の親を持つご家庭では、不用品の処分に頭を悩ませることが増えてきます。
例えば、体力や判断力の低下により自分で物を整理できなくなったり、介護施設への入所が決まって急いで家財を整理する必要が生じたりするケースです。
不用品を処理する際は「自分たちで処分」するか「業者に依頼する」の2択です。どちらの方法が適しているかは、荷物の量やご家族の状況によって異なります。
本記事では、高齢者の不用品処分が必要になる主なタイミングや処分の方法について詳しく解説します。業者利用時の費用相場も紹介しているので、参考にしてみてください。
高齢者の不用品処分が必要になるタイミング
高齢者の生活環境が変化する際には、住まいの状況に応じた不用品の整理が必要となります。こうした不用品の処分が求められる主なタイミングは、以下のとおりです。
- 親が荷物を捨てる判断能力が低下したとき
- 介護施設への入居もしくは退去するとき
- 親が亡くなったあと
- 医療・介護向けに自宅を整備するとき
ここでは、処分が必要となる代表的な4つのタイミングについて解説します。
親が荷物を捨てる判断能力が低下したとき
高齢になると判断力が低下して、何が必要で何が不要なのかの区別がつきにくくなります。その結果、家の中が物でいっぱいになるケースも少なくありません。
高齢者の住環境において不用品の蓄積は、以下のような安全リスクを引き起こします。
- 転倒によるケガ
- 火災の発生
- 避難経路の遮断
- 家族や友人との交流が減少
散らかった室内は転倒や火災の原因となり、高齢者にとって大きな危険です。また、加齢に伴う判断力の低下や社会的孤立も、物の増加を加速させる要因となります。
介護施設への入居もしくは退去するとき
介護施設では居室の広さが限られており、持ち込める荷物に制限を設けている施設も多いです。
多くの施設では衣類や趣味に使うもの、小型家電といった、サイズが小さめの物の持ち込みを許可していますが、大きいサイズの家具・家電は持ち込めないケースがほとんどです。介護施設への入居後、自宅に戻る可能性が低い方は、自宅にある物を処理する必要があるでしょう。
また、退去時には居室を入居前の状態に戻す原状回復が求められ、残された荷物はすべて撤去しなければなりません。
介護施設への入居を検討している方は、高齢者向けの介護施設の情報を多数掲載する「いいケアネット」をご活用ください。持ち込み可能な荷物の詳細や入居条件について相談できる施設も紹介しています。
関連記事:
老人ホームにはいつ入る?入居者の平均年齢や施設探しのポイントを解説
介護老人ホーム入居までの流れを詳しく解説!施設見学から契約まで
親が亡くなったあと
高齢者が亡くなった後は、遺品の整理が必要です。貴重品や重要書類を確認し、相続財産として扱われる価値のあるものを特定します。
その後、家族や親戚で形見分けを行い、残った物品を不要品として処分していく流れです。しかし、故人との思い出が詰まった品々は感情的に手放しづらく、整理作業が停滞してしまうでしょう。
このような場合、遺品整理の専門業者に依頼すれば、プロの視点から適切な分別と処分が可能です。相続放棄や遺産分割協議が絡む場合は、法的な配慮も必要となります。
医療・介護向けに自宅を整備するとき
要介護度の変化により、高齢者の身体機能に応じた住環境の整備が必要になることがあります。
その際、不用品を発見したり、介護用品の設置に伴って障害となる家具を移動・処分したりするケースも少なくありません。
例えば、車椅子での移動が必要になった場合、通路を広く確保するために家具の配置換えや処分が求められます。また、転倒防止のため床に置かれた物品の撤去や、手すりの設置スペース確保のための整理も必要です。
バリアフリー化工事を行う際には、工事範囲の家具や荷物を一時的に移動させる必要があります。住環境整備は、高齢者の安全性と生活の質を向上に欠かせない作業といえるでしょう。
関連記事:元気なうちに老人ホームに入れる?おすすめの施設や注意点などを解説
高齢者の不用品を処分する2つの方法
高齢者の不用品処分には、主に以下2つの方法があります。
- 自分で処分する場合
- 業者に依頼する場合
それぞれの特徴や注意点を理解して、状況に応じた最適な選択をしましょう。
自分で処分する場合
自分で不用品を処分する場合、まずは自治体の分別ルールを確認しましょう。燃えるゴミ・燃えないゴミ・資源ゴミなどの基本的な分別に加え、収集日や出し方の決まりを守る必要があります。
大型の家具や家電は、粗大ゴミとして事前申込みが必要で、処理券の購入や指定場所への運搬が求められます。
とくに注意が必要なのは家電リサイクル法の対象4品目です。家電リサイクル法の概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
対象家電 | エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機 |
処分方法 | ・家電量販店での引き取り ・指定引取場所への持ち込み |
費用 | ・リサイクル料金の支払いが必要 ・収集運搬料金も別途かかる |
これらは家電量販店での引き取りまたは指定引取場所への持ち込みが必要で、リサイクル料金と収集運搬料金の支払いが義務付けられています。
自分で処分すれば費用は抑えられますが、手間がかかるため、時間や体力に余裕がある人に適しています。
参照:経済産業省『家電4品目の「正しい処分」早わかり!|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)』
業者に依頼する場合
業者依頼では、不用品回収業者と遺品整理業者の違いを理解しましょう。両者の違いは以下のとおりです。
項目 | 不用品回収業者 | 遺品整理業者 |
---|---|---|
業務内容 | 家具・家電など不用品回収・処分 | ・故人の持ち物の整理 ・仕分け ・供養 ・処分 |
対応範囲 | ・荷物の分別 ・運搬 ・処分 |
遺品の取り扱いに配慮した整理・供養まで対応 |
特徴 | ・回収のスピードが早い ・即日対応も可能 |
・心情面への配慮が手厚く ・丁寧な対応が強み |
費用相場 | 軽トラック1台分で約3万円~5万円 | 内容により幅あり(数万円~数十万円) |
不用品回収業者は家具や家電の回収に特化しており、遺品整理業者は故人の思い出品の仕分けや供養サービスまで提供します。
不用品の内容や目的に応じて、業者を選択すればスムーズな片付けにつながります。
不用品回収の相場と利用方法
不用品回収を依頼する際は、適正な費用相場を把握し、信頼できる業者を選びましょう。
ここでは、料金体系と業者選びのポイントについて詳しく解説します。
回収費用の目安と料金体系
不用品回収の料金相場は作業量と回収量によって大きく変動します。料金相場は以下のとおりです。
項目 | 費用目安 |
---|---|
軽トラック1台分 | 1万円~2万5千円 |
1tトラック | 3万円~5万円 |
2tトラック | 5万円~8万円 |
2階以上からの搬出作業 | 1フロアあたり1千円~3千円(追加料金) |
家具の解体作業 | 1点につき3千円~5千円(追加料金) |
また、土日祝日や早朝・深夜の対応では10%~20%の割増料金が設定される場合もあります。
悪質な業者による高額請求を防ぐため、必ず3社以上から相見積もりを取得しましょう。極端に安い見積もりや、逆に相場を大幅に上回る金額を提示する業者には注意が必要です。
料金の内訳がはっきりしており、追加費用の条件を事前に案内してくれる業者なら安心です。
信頼できる業者の選び方
不用品回収業者を選ぶ際は、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているかを必ず確認しましょう。
この許可は市区町村ごとに発行され、家庭からの不用品を合法的に回収する際に必要な資格です。
無許可業者に依頼すると不法投棄のリスクがあり、依頼者も法的責任を問われる可能性があります。
業者選びでは、インターネットの口コミや評価、実際の利用者からの紹介を参考にしましょう。
Googleマップや地域の掲示板で複数の声をチェックし、評価が極端でない業者を選ぶと安心です。
明確な契約書を交わし、作業内容や料金について事前に詳細な説明を受けることでトラブルを防げます。口約束ではなく、書面での確認を徹底し、安心して依頼できる環境を整えましょう。
不用品処分で快適な住環境づくりをしよう【まとめ】
高齢者の不用品処分は、安全で快適な住環境を維持するために必要な作業です。転倒や火災などのリスクを防ぎ、介護施設への入居や住み替え時にもスムーズな対応が可能になります。
自分で処分する場合は自治体のルールに従った分別が必要で、業者に依頼する際は一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ信頼できる業者の選択が必要です。複数業者からの相見積もりを取り、料金体系が明確な業者を選べば安心して依頼できます。
適切な不用品処分により、高齢者が安心して暮らせる住環境が整います。
住環境の整備が困難になった場合は、介護施設への入居も検討すべき選択肢です。高齢者向け介護施設を多数掲載している「いいケアネット」では、ご本人の状態に適した施設を無料で探せます。お住まいのエリアや希望の条件で検索できるので、ぜひ活用してください。