「ペットと一緒に暮らせる介護施設ってあるの?」
「あるなら施設の入居条件やルールなどを詳しく知りたい」
ペットを飼っている方の場合、このような想いを抱く方は多いのではないでしょうか。
ペットと一緒に暮らせる介護施設は多数存在します。しかし、通常の介護施設とは生活上のルールや入退去時の対応など、異なる点が多いのが特徴です。
本記事では、ペットと一緒に暮らせる介護施設の種類や施設の特徴を詳しく解説します。入居における注意点も紹介しているので参考にしてみてください。
ペットと一緒に暮らせる介護施設とは
ペットと一緒に暮らせる介護施設とは、ペットの入居を許可している施設のことです。これまでペットとともに生活していたご本人の生活スタイルを尊重し、普及が進んでいます。
ペットと一緒に暮らせる介護施設には、有料老人ホームや特別養護老人ホーム(特養)などがあります。とはいえ、一般的な介護施設と比べると対応施設はまだ少ないため、スムーズに入居できるとは限りません。
効率良くペット可の施設を探したい場合は、介護施設検索サイトを利用するのがおすすめです。お近くのエリアでペットと一緒に暮らせる介護施設を簡単に検索できます。
どのサイトをチェックすれば良いのか迷ったら、高齢者向けの介護施設の情報を多数掲載する「いいケアネット」をご活用ください。大阪府を中心にペット同居可の老人ホームを多数紹介しています。
関連記事:住宅型有料老人ホームとは?主なサービス内容や必要な料金をわかりやすく解説!
アニマルセラピーで犬や猫がいる老人ホームもある
ペットとの同居を直接許可している施設とは別に、アニマルセラピーを目的として犬や猫などの動物が施設内にいる老人ホームも存在します。
アニマルセラピーは、動物との触れ合いを通じて、精神的・身体的な健康を促進する活動です。
高齢者にとって、動物との触れ合いは情緒の安定やストレスの軽減につながると言われています。
たとえば、動物とのふれあいは脳内にオキシトシンと呼ばれるホルモンが分泌され、リラックス効果や幸福感がもたらされるなど、ポジティブな影響が多いのが特徴です。
また、動物の世話により生活にハリが生まれたり、他の入居者やスタッフとのコミュニケーションのきっかけになったりするケースもあります。
ペットと一緒に暮らせる介護施設の特徴
ペットと一緒に暮らせる介護施設は、通常の介護施設とは異なるいくつかの特徴を持っています。
- ペット専用の設備が整っている施設もある
- 一般の居室とペットとの同居用個室が分けられている
- 最期の時までペットと一緒に過ごせる
主に有料老人ホームに多く見られる傾向として、入居者のペットとの暮らしをサポートするための配慮がされています。
ペット専用の設備が整っている施設もある
ペットと同居できる介護施設の中には、ペットが快適に過ごせるための専用設備が整っている施設もあります。
たとえば、散歩から帰ってきた際に足を洗えるペット用の足洗い場や、身体をきれいにできるペット専用のシャワールーム、さらには自由に走り回れるドッグランを併設している施設も増えてきました。
また、一部の施設では、ペットのトリミングサービスを提供しているところも見られます。
ただし、ペットとの同居が可能な施設であっても、必ずしも充実したペット専用設備が整っているとは限りません。
施設を選ぶ際には、どのような設備があるのか事前確認が重要です。
一般の居室とペットとの同居用個室が分けられている
ペットと同居可能な介護施設では、一般的な居室とは別に、ペットと一緒に暮らせる専用の個室が設けられている場合がほとんどです。
居室スペースを分けることで、ペットを飼っていない他の入居者への配慮がされています。
ペット同居可の個室は、ペットが安全かつ快適に過ごせるように、一般的な居室よりも広めに設計されているのが特徴です。
施設によっては、居室内にペットが安心して過ごせるスペースが確保されている施設もあります。
最期の時までペットと一緒に過ごせる
ペットと同居可能な介護施設では、入居者とペットが最期のときまで一緒に過ごせるのが最大のメリットです。
「もし自分に何かあったら、この子はどうなってしまうのだろう」と、ペットを残す心残りや後悔を抱かず、安心して暮らせます。
逆に、ペットの最期も看取れます。愛するペットを最後まで見送れなかった後悔を抱くことなく、お別れ可能です。
高齢者向けの介護施設の情報を多数掲載する「いいケアネット」では、ペット可の老人ホームも紹介しています。無料で利用できるので、どんな施設があるかチェックしてみてください。
ペットと一緒に暮らせる介護施設の注意点
ペットと同居可能な介護施設は増えているものの、入居を検討する際には、いくつかの注意点を確認しておく必要があります。
- ペットの種類や大きさによっては利用できない
- 契約書の内容をよく確認する
- 初期費用や利用料が高い傾向にある
- トラブル例を把握し予防策を考える
- ペットの世話が難しくなったときの引き取り先を決めておく
ペット同伴可能な介護施設や老人ホームを選ぶかを決めるためにも、順番に見ていきましょう。
ペットの種類や大きさによっては利用できない
ペット可の介護施設でも、すべてのペットが入居できるわけではありません。ペットの種類や大きさに制限があるためです。
以下は、ルールの一例です。
- 同居できるペットは犬または猫のみ
- 無理なく抱いて移動できる大きさまで
- 他の人に危害を与える可能性が小さいペット
大型の動物や特殊なペットは、入居を断られる可能性があります。入居前に必ず、検討している施設のペットに関するルールを詳しく確認しておきましょう。
契約書の内容をよく確認する
ペット同居可能な介護施設に入居する際は、契約書の詳細まで確認することが大切です。とくに、ペットが居室を汚したり、設備を壊したりした場合の修理費や清掃費用に関する項目は必ず確認しておきましょう。
一般的に、入居者やそのペットによる過失で生じた損傷や汚れについては、入居者(または身元引受人)が原状回復費用を負担する可能性があります。
たとえば、ペットによる引っ掻き傷や排泄物によるシミ、臭いなどは、通常の使用による損耗とはみなされず、別途費用を請求される可能性がゼロではありません。
費用負担の範囲や条件を明確にしておくと、後々のトラブルの予防につながります。
初期費用や利用料が高い傾向にある
ペットと同居可能な介護施設は、通常の介護施設と比較して初期費用や月額利用料が高くなりがちです。
とくに有料老人ホームの場合、入居時に支払う入居一時金が高額になりやすい傾向があります。一方で、特養のような公的な施設は入居一時金が発生せず、月額費用も比較的低コストで利用できます。
しかし、ペット同伴が可能な特養の数は多くありません。さらに、特養は人気が高く、入居まで長い待機期間が必要となる可能性が高いため、有料老人ホームを検討した方がスムーズに入居できる場合もあります。
関連記事:住宅型有料老人ホームの入居一時金に返還(返金)制度は使える!確認したいポイントも紹介
トラブル例を把握し予防策を考える
介護施設でペットを飼う場合、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
たとえば他の入居者への鳴き声や臭いによる迷惑、アレルギーを持つ入居者への影響、施設の破損など、さまざまなトラブルが考えられます。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、以下のような予防策を徹底しましょう。
- しつけの徹底: 無駄吠えをしない、噛み癖がないなど、基本的なしつけ
- 健康管理と清潔の保持: 定期的なワクチン接種や健康診断、ノミ・ダニ対策など
- 適切な管理: 共有スペースではリードを着用する、ゲージに入れるなど
- 避妊・去勢手術:発情期の問題行動を抑える
入居を検討する前に、施設が定めるルールを理解し、これらの予防策を実践できるかを確認しておきましょう。
ペットの世話が難しくなったときの引き取り先を決めておく
入居者が体調を崩したり、入院が必要になったりして、一時的に入居者がペットの世話が難しくなるケースは珍しくありません。
また、入居者が亡くなった後にペットの世話ができなくなるケースも想定されます。
このような「もしも」の事態に備えて、ペットの預け先や引き取り先の事前選定が重要です。具体的には、以下のような選択肢が考えられます。
- 親族や友人の協力
- ペットホテルや老犬・老猫ホーム
- 動物愛護団体や保護施設
- 身元保証サービスやペット信託
なお、保健所は原則として飼い主からのペットの引き取りはおこなっていないため注意してください。
必ず、事前に安心できる引き取り先を確保しておくようにしましょう。
ペットと同居可能な介護施設を調べて入所を検討しよう【まとめ】
ペットと一緒に暮らせる介護施設は、大切な家族であるペットと離れたくない高齢者にとって、安心できる大切な選択肢です。
ペットとの暮らしが心の支えになることも多く、生活の質を保つうえでも役立ちます。ペットと入居可能な施設数はまだ少ないですが、徐々に増加傾向にあります。
「いいケアネット」では、大阪府を中心にペット同居可の老人ホームを多数紹介しています。無料でご相談いただけますので、ペット可の施設をお探しの際はぜひお問い合わせください。
監修者 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会 斉藤 正行
一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。