免許を自主返納する人はここ10年間で約12倍
近年、高齢者の運転免許の自主返納者数が高まっていることが話題となっています。
免許を自主返納する人はここ10年間で約12倍にも増加しています。
免許の返納とは、身体や認知の機能の低下により、安全に車の運転ができない人が、
有効期限の残っている免許証を返納(運転免許の申請取り消し)
することを言います。
車を運転できなくなると不便なことも多く、「返納するか迷っている」という人もいるのではないでしょうか。また、周囲の人に返納を勧められて「返納したらどうなるのか知りたい」と思っている人もいるかもしれません。
ここでは、高齢者が免許を「返納する理由」と「返納した際のメリットとデメリット」について説明します。
返納が増加している理由
高齢者の運転免許の返納数が増加しているのは、政府が、高齢者の免許を返納させる施策を取っているからです。
現在、高齢運転者の死亡事故が問題視されています。
警察庁によると、死亡事故の件数自体は平成17年から少しずつ下がり続けているのですが、75歳以上の高齢運転者の事故件数はほぼ横ばいで、死亡事故に占める高齢者事故の割合が増えていることが分かります。
さらに、高齢運転者の死亡事故数は若年運転者の2倍にものぼっています。
そのため、社会全体として「高齢者は免許を返納すべき」という風潮があり、免許証を返納したときに特典がつくなど、返納したくなるような仕組みも作られています。
返納した際のメリット
返納したときの大きなメリットとしてまず「運転経歴証明書」がもらえます。
「運転経歴証明書」は運転免許証の代わりの身分証明書となるほか、提示することで、バス、鉄道が半額(自治体によっては無料)になったり、タクシー料金が10%割引になったり、イオン・イトーヨーカドーにて格安配送が可能になったり、各種施設などが割引になります。
車が運転できなくても快適に生活しやすくなるのです。
「運転経歴証明書」は、返納後5年以内であれば、交付手数料1,100円とともに申請することができます。
ほかにも、車を運転しないということで事故のリスクが減りますし、車が不要になる分、車検、維持費がかからないという金銭的なメリットもあります。
返納した際のデメリット
運転免許の返納は、良いことばかりのように見えますが、デメリットもあります。
例えば、今までのように買い物や病院に気軽に出かけにくくなります。公共交通機関の整っていない地域であればなおさらです。
また、高齢者は足腰が弱く、お米などの重い物を購入して持ち運ぶ際、車がないと困難です。
移動に必要で、家族が車を出さないといけなくなる可能性もあります。その場合、家族に負担がかかることも考えられます。
また、車の運転しないことで記憶力や判断力が欠け、運転をやめた後に認知症が突然進んでしまったという事例もあります。
運転ができなくなることで、生活上にも健康面にも、悪影響がないとは言えないようです。
免許返納の仕方
メリットデメリットが分かったところで、免許返納の仕方をご説明します。
免許試験場や警察署などに運転免許証の返納(申請取り消し)を申請するだけです。
申請の際には運転免許証と印鑑が必要になり、手数料はかかりません。
この手続きは運転免許証が有効である必要があります。本人申請だけでなく、代理申請が可能な自治体もあります。
免許、返納しますか?
運転免許証の返納の必要性、メリットとデメリットと返納の仕方を説明してきました。
事故のリスクを考えれば免許の返納は必要との見方もありますが、返納によって今後の暮らしの質が損なわれるのでは考えものです。
返納を検討する際は、車がなくとも暮らしていける環境を整える必要があります。
車がなくても生活できる土地へ引っ越しをしたり、買い物に行かなくとも済むように宅配サービスを検討したりするなど、工夫ができます。
運転免許の返納による「安全・家族の安心」と、返納後の「利便性」を踏まえて、より良い選択をしてください。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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