「親が通っているデイサービスが、最近なんだか不穏な雰囲気…。」
「もし施設が倒産したら、誰に相談すればいいの?」
長年利用しているデイサービスの変化に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
近年、介護事業所の倒産件数は、増加傾向にあります。東京商工リサーチが調査した介護施設の倒産件数によると、2024年度の倒産件数は179件と、介護保険制度が始まった2000年度以降で過去最多を記録しました。
そのため、介護事業の経営悪化による倒産は、他人事ではありません。
この記事では、デイサービス倒産の前兆から相談窓口、新しい施設選びまで、家族が知っておくべき対処法を詳しく解説します。
適切な準備と迅速な対応で、利用者本人への影響を最小限に抑えられます。
大切な家族が安心して介護サービスを受け続けられるよう、一緒に備えを進めていきましょう。
倒産しそうなデイサービスの特徴
デイサービスが倒産する主な理由は、経営悪化です。倒産しそうなデイサービスには、以下のようにいくつかの共通した特徴が見られます。
- スタッフが次々と辞めている
- サービスの質が低下している
- 経営者・管理者がすぐに代わる
- 建物や設備が古くて故障が多い
例えば、スタッフが次々と辞める背景には、人件費の削減があります。経営が苦しくなった施設では、スタッフに給料を支払えない状況に陥ってしまうのです。
スタッフが少なくなれば、自然とサービスの質も低下します。具体的には、送迎時間が大幅に遅れたり、スタッフと利用者のコミュニケーションが不足したりするなどの問題です。
また、経営者・管理者がすぐに代わる施設は、経営方針が定まらず、経営も傾くリスクが高まります。
建物や設備が古くて故障が多い施設も、経営難で修理費の捻出が難しい状況の可能性があります。
デイサービス倒産時の相談先
デイサービスの倒産が不安になったときや実際に閉鎖の知らせを受けた場合、どこに相談すればよいか迷う方も多いでしょう。デイサービスが倒産した際の相談先は、以下のとおりです。
- ケアマネージャー
- 地域包括支援センター
- 市区町村の福祉課
- 弁護士(法的対応が必要な場合)
ここでは、状況に応じて頼れる相談窓口を4つ紹介します。
ケアマネージャー
デイサービスの倒産について最初に相談すべきは、担当のケアマネージャーです。
ケアマネージャーは利用者の現在のケアプランを詳しく把握しており、利用者の状態や希望に合った代替施設を紹介できる最も身近な専門家といえます。
ケアマネージャーに相談するメリットは、以下のとおりです。
- 他のデイサービス事業所との連携が豊富
- 移行に伴う介護保険サービスの再調整
- 家族の不安や疑問にも親身に対応
地域内の他のデイサービス事業所との連携も豊富で、空き状況の確認や見学の手配もスムーズに進められます。新しい施設への移行に伴う介護保険サービスの再調整も、ケアマネージャーが窓口となってくれるため、心強い味方といえるでしょう。
関連記事:ケアマネージャーに相談できることは?どこまで対応してもらえるのか解説
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者支援における総合相談窓口として、地域全体のデイサービスをはじめとする介護サービス情報に精通しています。
特定の事業者に偏らない客観的な立場から、利用者にとって最適なサービス選択についてアドバイスを受けられます。
地域包括支援センターでは、以下のような専門職が配置されており緊急時の支援策も相談可能です。
- 保健師
- 社会福祉士
- 主任ケアマネージャー
また、介護保険制度の説明や各種サービスの案内も丁寧に対応してもらえるため、今後の介護の方向性を考えるうえで頼れる存在です。
市区町村の福祉課
市区町村の福祉課は、管轄内の「地域密着型」デイサービス事業所の運営状況を監督しており、施設の届け出状況や過去の処分歴などの情報を把握しています。
苦情や相談の情報は関係機関に集まることがありますが、すべてが公開されるわけではありません。運営実態を判断するには、複数の情報源を確認しましょう。
デイサービスのサービス対応に不安を感じたら、福祉課を通じて行政指導歴や処分情報などを確認することが可能です。
弁護士(法的対応が必要な場合)
デイサービスの倒産に伴い、利用料金の返金や預かり金の取り扱いなどで契約上のトラブルが発生した場合には、弁護士への相談が必要です。
とくに、施設側が一方的に契約を打ち切ったり、支払い済みの費用が返還されなかったりする場合には、法的な観点からの対応が欠かせません。
介護事業の倒産に詳しい弁護士であれば、利用者の権利保護について適切なアドバイスを提供できます。
金銭的な損害の回復だけでなく、今後同様のトラブルを避けるため契約書の確認方法についても指導を受けられるでしょう。
デイサービスが倒産後の手続きと流れ
デイサービスの倒産が決まると、利用者や家族はさまざまな手続きに対応しなければなりません。倒産後の手続きは以下のような流れです。
流れ | 詳細 |
---|---|
1.ケアマネージャーに連絡・相談する | ・担当ケアマネージャーと連携し、今後の対応方針を相談 ・新しいケアプラン作成の準備 |
2.新しいケアプランを作成する | ・これまでの介護度やサービス利用状況をもとにプランを再構成 ・介護保険の再申請や利用者負担額の見直 |
3.必要な書類・資料を受け取る | 介護記録、契約書類、医療情報や連携記録など |
4.新しいサービスが見つかるまでのつなぎ対応を検討する | 一時的な対応を検討(訪問介護の回数増加、ショートステイの一時利用) |
倒産という事態に直面しても、適切な手続きをすれば次の一歩を踏み出せます。不安なときこそ、専門家の力を借りながら、前向きに対応していきましょう。
新しいデイサービスを選ぶ際のポイント
倒産により新しいデイサービスを探す際は、慌てて決めず、利用者本人にとって最適な施設を見つけましょう。以下のポイントを軸に、比較検討を進めましょう。
- 親の意向を最優先にする
- サービス内容と特徴を比較する
- 施設の雰囲気とスタッフの対応を確認する
どの施設を候補にすればよいのか迷ったら、高齢者向けの介護施設の情報を多数掲載する「いいケアネット」をご活用ください。無料検索にて、地域の通所介護や併設施設の詳細をチェックでき、効率的に比較検討できます。
関連記事:デイサービスとは?どんな人がサービスを受けられるかやメリットなどを解説
親の意向を最優先にする
新しいデイサービス選びでは、まず親の正直な気持ちを聞いてあげます。以前のデイサービスで気に入っていた点(スタッフの対応・レクリエーション内容・利用者同士の雰囲気など)と、逆に嫌だった点を具体的に確認しましょう。
迎えや帰りの時刻、送迎車に乗っている時間の印象なども、本人の負担感や生活のリズムに影響するため確認しておくべきです。
レクリエーションは、親の性格や体調に合わせた環境を見極め、新しい施設でも安心して過ごせるようにしましょう。
サービス内容と特徴を比較する
デイサービスには一般的な通所介護や認知症対応型など、さまざまなタイプがあるため、親の状態に最も適したサービス形態を選びましょう。
施設を選ぶ際は、以下のようなサービス面も確認しておくと安心です。
- 入浴設備(一般浴・機械浴)
- 食事対応(制限食・とろみ食)
- 機能訓練の充実度
- 自費サービスの内容
また、月額の実費負担を確認しておくと予算に見合った施設を選びやすくなります。事前にサービス内容を把握すれば、利用開始後のミスマッチを防ぎ、継続的な利用につながります。
関連記事:デイサービス(通所介護)とは?メリットデメリットとデイケアとの違いを解説
施設の雰囲気とスタッフの対応を確認する
実際の見学では利用者の表情を観察し、スタッフの対応・施設全体の雰囲気や清潔感などを総合的にチェックしましょう。
とくに利用者同士やスタッフとの自然な会話が生まれているか、無理強いされている様子がないかも重要な判断材料となります。
見学の際は、スタッフの説明のわかりやすさや質問への対応にも目を向けましょう。誠実な対応であれば、安心して任せられる施設といえます。
デイサービス倒産に備えて家族で相談・準備を進めよう【まとめ】
デイサービスの倒産は突然起こる可能性があるため、事前の備えと迅速な対応が大切です。
スタッフの頻繁な退職や設備の老朽化への対応など、経営悪化の兆候を見逃さないよう注意しましょう。
実際に倒産した場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどの専門機関に早めに相談し、新しいケアプランの作成や代替施設の確保を進めてください。
新しいデイサービス選びでは、利用者本人の意向を最優先に、サービス内容や施設の雰囲気を慎重に比較検討しましょう。
高齢者向けの介護施設の情報を多数掲載する「いいケアネット」では、希望にあったデイサービスを探すサポートをいたします。無料で利用できるので、どのような施設があるかチェックしてみてください。