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独居生活とは?高齢者の1人暮らしに潜むリスクや支援サービスを紹介

高齢化が進んでいる日本では、独居生活を送る高齢者の数も年々増加しています。高齢者の一人暮らしは、本人だけではなく、周囲にとっても心配が尽きないものです。かつては家族との同居が一般的だった高齢者も、近年は一人暮らしを選択したり、余儀なくされたりするケースが増えています。

今回は、独居生活の実態について、日常に潜むリスクとあわせて解説します。身寄りのない高齢者が安心して暮らすために利用できるサービスもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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独居生活とは?1人暮らしの高齢者割合は増加傾向

独居生活

独居生活とは、家族や他者と同居せず、一人で生活することを意味します。とくに、高齢者の独居生活は、心身の健康や社会的なつながりの観点から、問題視されています。

内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らしの高齢者は男女ともに増加傾向にあり、2020年には男性15.0%、女性22.1%という結果でした。なお、2050年には男性26.1%、女性29.3%まで増えると予想されています。

独居生活の高齢者が増加している背景には、核家族化の進行や配偶者との死別、子どもの独立など、さまざまな社会的かつ個人的な要因があります。また、自由だから・気楽だからといった理由で自ら一人暮らしを選ぶ方も少なくありません。しかし、高齢者の独居生活には、必要なタイミングで支援が届きにくくなるといった課題があります。

参考:内閣府『令和6年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況』

独居生活に潜む主なリスク

高齢者の独居生活には、身の回りのことに手が回らなくなったり、生活が困窮したりするなど、さまざまなリスクがあります。

以下で、それぞれのリスクについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

病気や怪我のときに十分な対応ができない

高齢者の独居生活では、体調不良や転倒といった緊急時に十分な対応ができないリスクがあります。本人の状態によっては、すぐに助けを求められなかったり、夜間や早朝は周囲を頼るのを躊躇してしまったりするケースも考えられます。

また、自分の健康状態を把握できずにいると、病気や怪我の早期発見や早期治療の機会を逃すことになりかねません。なお、周囲との連絡手段が確保されていない場合は、リスクがさらに高まる点に注意が必要です。

身の回りのことに手が回らない

加齢によって活動量が減ると、家事や買い物、掃除などの身の回りのことに手をかけられなくなる場合があります。身の回りのことができなくなると、生活の質が低下するだけではなく、思わぬ事故やケガにつながるリスクも考えられます。

高齢者の場合、病気やケガなどをきっかけに、これまでできていたことが大きな負担になるケースも少なくありません。この場合、周囲のサポートを得られなければ、生活の質を維持するのは難しくなります。

お金の管理ができなくなる

お金の管理ができなくなることも、高齢者の独居生活におけるリスクの一つです。認知機能が徐々に低下していくと、家賃や光熱費の支払いを忘れたり衝動買いが増えたりするなど、お金の管理が難しくなる場合があります。

なお、認知症を発症している場合は、さらなる注意が必要です。自分でも気づかないうちに大金を使ってしまい、契約トラブルや借金、詐欺といったトラブルに巻き込まれる可能性も考えられます。

交流の機会が減少する

一人暮らしの高齢者は、社会的に孤立しやすい傾向です。仕事や地域活動から引退したり、家族との関わりが希薄になったりすると、人と話す機会が減って孤独感が強まります。

孤独感はうつ病や認知症のリスク要因にもなり得る点に注意が必要です。社会的に孤立している状態が長く続くと、生活に不安を感じるようになり、生きがいを喪失してしまう方も少なくありません。社会的な孤立は、精神的にも身体的にも大きなダメージとなるため気をつけましょう。

▼ 以下の記事では、高齢者向けに自宅での過ごし方のポイントを解説しています。

関連記事:自宅で取り入れたい高齢者の一日の過ごし方5選!何もすることがないがダメな理由も

犯罪に巻き込まれる可能性がある

高齢者の独居生活には、犯罪に巻き込まれるリスクもあります。高齢者を狙った空き巣や特殊詐欺などは後を断ちません。一人暮らしの高齢者はこのような犯罪のターゲットにされやすいため、日頃から防犯対策の強化に努める必要があります。

電話や訪問販売などを通じて詐欺に遭うケースも多く、高齢者一人では対策が難しいのが現状です。常に警戒心を持つことはもちろん、周囲との連携による防止策も必要だといえます。

生活が困窮する

一人暮らしの高齢者のなかには、年金のみの収入で生活している方もいます。そのため、想定外の出費があると、生活が立ち行かなくなる可能性も少なくありません。家賃や医療費の支払いが困難になるケースでは、生活が一変して困窮してしまうでしょう。

高齢者は年を重ねるとともに医療や介護の必要性が高まります。一方で、サービスを受けるための費用を賄えなくなると生活を立て直すことも難しくなります。

孤独死のリスクが高まる

孤独死も高齢者の独居生活に潜むリスクの一つです。誰にも看取られずに亡くなる「孤独死」は、近年社会問題にもなっています。独居生活の場合、たとえ本人が望んでいなくても、孤独死といった悲しい結末につながるケースが少なくありません。

孤独死は、発見が遅れると周囲に与える影響も大きくなります。孤独死を防ぐためには、定期的なコミュニケーションや見守りなどが不可欠です。

いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。介護保険を利用して老人ホームへの入居を検討している方は、ぜひ気軽にご相談ください。

身寄りのない独居生活の高齢者が安心して暮らす方法

独居生活

身寄りのない一人暮らしの高齢者が安心して暮らすために、利用できるサービスがあります。

  • 自治体や民間の生活支援サービスを利用する
  • 介護サービスを利用する
  • 老人ホームや施設に入居する

以下で、それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

自治体や民間の生活支援サービスを利用する

多くの自治体では、高齢者向けの見守りサービスや配食サービス、定期訪問などの支援制度を設けています。要介護・要支援に関係なく、65歳以上の一人暮らしまたは高齢者のみの世帯といった利用条件があります。

たとえば、東京都中央区では以下をはじめとする生活支援サービスの利用が可能です。

  • 緊急通報システム
  • ふとん乾燥サービス
  • 家具類転倒防止器具の取り付け
  • 暮らしの困りごとサポート
  • 友愛電話訪問
  • 入退院時サポート
  • 食事サービス

自治体の高齢福祉課や地域包括支援センターなどに相談すると、状況に応じた支援が受けられます。ほかにも、高齢者のための生活支援サービスを提供している民間事業者もあります。民間のサービスなら、内容が豊富でより細かなニーズに応えてくれるでしょう。

参考:中央区役所『高齢の方へのサービスのご案内』

介護サービスを利用する

介護保険制度を利用すると、ホームヘルパーによる訪問介護やデイサービスの利用が可能です。介護サービスには、日常生活において必要なサポートを受けられるほか、精神的な安心感を得られるメリットがあります。

介護サービスを利用できるのは、原則として65歳以上の方です。ただし、利用できる介護サービスや費用負担については、要介護・要支援の介護レベルによって異なります。各自治体や地域包括支援センターに相談すると、具体的にどのようなサービスを受けられるか教えてもらえます。

老人ホームや施設に入居する

高齢者の独居生活が不安な場合は、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居も検討しましょう。日常生活のサポートも受けられるほか、安全性が高まり、安心して生活できるようになります。

入居には初期費用や利用料が必要ですが、費用には差があるため、希望の条件や予算に合った施設選びが重要です。

なお、いいケアネットでは、老人ホーム探しのための入居無料相談を受け付けています。介護保険を利用して老人ホームへの入居を検討している方は、ぜひ気軽にご相談ください。

▼ 老人ホームに入居するタイミングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:老人ホームにはいつ入る?入居者の平均年齢や施設探しのポイントを解説

【入居事例】独居生活から安全な施設生活へ

独居生活

ここでは、危険な独居生活から安全な施設生活へシフトした方の事例を2つ紹介します。

入居事例1.歩行器を使用するようになり施設入居を検討

ケアマネージャーからの相談により、施設を探し始めたAさんは、当初アパートの2階で気ままに一人暮らしをしていました。しかし、膝や腰が悪くなり、外出時には歩行器を使うようになりました。階段の上り下りが難しくなったにもかかわらず、Aさんは用事を済ませるために1人で階段を降りようとしたところ、歩行器が滑り落ちてしまい、階段の半分ほどのところから落ちてしまいました。

近くに家族がおらず、このまま一人暮らしを続けていくのは危険だとケアマネージャーが判断し、施設を探すことになりました。歩行器を使い始めた頃から、まだ一人暮らしできると言い続けていたAさんでしたが、この件で施設への入所を検討し始めました。一人暮らしで寂しい思いをしていたのもあり、温かいスタッフの声かけやレクリエーションでのコミュニケーションが何より嬉しいようです。

入居事例2.親の独居生活に不安を感じた娘様からの相談

4年前にご主人を亡くされてから一人暮らしになったBさんは、認知症を患い、一気に症状が進行してしまいました。娘さんも心配で1時間以上離れたところから頻繁に通われていたようです。しかし、1日何百回の電話や着信があり、娘さんが仕事でなかなか出られないと、Bさんは余計に不安になっていたそうです。その後、ケアマネージャーのすすめで施設を探し始めました。

娘さんは、当初Bさんを施設に預けることに抵抗があり、罪悪感に苛まれたそうです。それでも、少しずつ「自分が倒れたら家族にとっても不幸なこと」「双方が適度な距離感で健康的な生活をするのがベストである」と考えられるようになっていったようです。合計10件の施設を見学し、認知症の方を熟知している施設長との出会いをきっかけに入居する施設が決まりました。Bさんは最初こそ帰宅願望があり大変でしたが1カ月もすると落ち着いて生活ができるようになりました。

▼ 介護を拒否する親との接し方については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:介護を拒否する親への接し方|拒否する理由や対応例も解説

独居生活の方は各種サービスを利用して安心できる環境を整えよう【まとめ】

独居生活

高齢者の独居生活は、自立と同時に多くのリスクがあります。年齢を重ねるにつれて、認知能力や判断力が低下すると、これまで当たり前にできたことができなくなったり、支援が必要になる場面が増えたりします。

高齢者の方は自治体や民間による生活支援サービスや、介護保険制度の利用によって、安全かつ安心できる暮らしの維持が可能です。独居生活に不安を感じている方は、老人ホームの入居も含めて、必要なサービスの利用を検討してみてください。

大阪を中心に、多数の高齢者向けの介護施設の情報を掲載する「いいケアネット」では、老人ホーム探しのための「入居無料相談」を受け付けています。老人ホーム探しでお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。

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監修者

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長会

斉藤 正行

一般社団法人全国介護事業者連盟理事長。立命館大学卒業後、複数の介護関連企業で要職を歴任し、日本介護ベンチャーコンサルティンググループを設立。講演活動やメディア出演も多数。

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