介護職員の人手不足について以前お話ししたと思います。
その際に、給与面での課題に対しての政府の施策として「処遇改善加算」についてお話しさせていただきました。
この「処遇改善加算」は、介護施設側の求人や新規で介護業界に入ろうという方だけでなく、介護業界に今現在お勤めの方も気になることかと思います。
処遇改善加算の請求状況について厚生労働省が発表!
2012年から介護に関わる人材の労働条件主に給与面の改善のために厚生労働省がはじめた「処遇改善加算」。
介護職員の給与の問題に関しては、厚生労働省も重く見ていると思われ、
「処遇改善加算」に関しても2012年に開始されて以降2度拡充が行われました。
今月2017年8月23日に行われた社会保障審議会・介護給付費分科会でも、
3度目の拡充について話し合われました。
審議会の意見としては、今回に関しては一旦拡充を見送り、
2度目の拡充の成果のデータが出そろってから改めて審議してはどうかとの声が上がっています。
上記の通り、審議会では3度目の拡充に関しては見送りとの声が多いですが、
自治体や介護現場からはまだまだ給与の引き上げとしては必要に足りておらず、
追加の拡充が必要との意見が出ています。
社会保障審議会・介護給付費分科会は、そういった現場の意見を踏まえたうえで、
今年2017年末には拡充の是非を決定する見通しです。
審議会と現場の意見の溝は依然深く……
社会保障審議会・介護給付費分科会と現場の間での「処遇改善加算」の現状についての理解にはまだまだ溝があります。
自治体や介護現場では、「処遇改善加算」の金額はまだまだ足りておらず、さらなる拡充を急ぐ声が上がっています。
一方で、社会保障審議会・介護給付費分科会は、「処遇改善加算」を必要としない介護現場にも「処遇改善加算」が支給されている可能性や、「加算Ⅲ」の条件を満たしているにも関わらず申請をしていない施設について懸念しています。
上記各会は、加算率の低い「加算Ⅳ」「加算Ⅴ」に関しては、廃止を視野に入れ、「処遇改善加算」を必要としている介護現場に十分に行き渡らせようという考えです。
介護処遇改善加算は、満たしている算定要件のレベルによって、
「Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅴ」と区分されています。
「加算Ⅳ」「加算Ⅴ」に関しては、算定要件が甘く、取得率も1%前後と非常に低いことから、これを廃止することにより「加算Ⅲ」の取得率を上げる狙いです。
※
加算Ⅳの算定要件:キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・職場環境要件のいずれかを満たしていること。
加算Ⅴの算定要件:キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・職場環境要件のいずれも満たしていないこと。
限られた財源をどのように有効に使うかに社会保障審議会・介護給付費分科会が
頭を悩ませている一方、現場では一刻も早い改善が必要な状況です。
「処遇改善加算」は介護の現場の人材不足に対する重要な施策と位置付けられており、
慎重かつ適切に運用していかれなければなりません。
現場の求めるスピード感とどのようにバランスをとっていけるのかも、重要なポイントです。
介護の現場の人手不足の解決に向けて
全事業所のうち、64.8%が最も加算額の大きい「処遇改善加算」-「加算Ⅰ」を請求しているとのデータを厚生労働省は発表しました。
これは、全事業所の過半数以上が介護処遇改善加算の最大レベルの要件を満たしているということです。
また、全国市長会の代表者も、「現状の改善が十分に進んでいるとはいえず、更なる改善が必要」との意見をあげています。
介護業界の人手不足に対して、「処遇改善加算」が今後どのように運用されるのか。
また、それ以外の施策の実行に関してはどのようになるのか。
今後も注意深く見ていこうと思います。
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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