厚生労働省は、未来投資会議 構造改革徹底推進会合「医療・介護―生活者の暮らしを豊かに」会合を開催した。介護関連については以下の内容。
『データを活用した自立支援』のこれまでの取り組みとしては、介護保険に基づいて介護保険給付費に関するデータを集め、介護保険総合データベースとして厚生労働省が管理するサーバーに保管。現在の介護保険総合データベースではサービス種別は分かっても提供されたケアの内容、方法までは収集するようなシステムではなかった。
今後、検討されることについては、データヘルス改革推進本部介護WGにおいて、データベース構築に関する課題事項の整理を実施する。研究班を配置して施設訪問し、分類作成のためのケアの内容についての情報収集を行う。本格運用の開始は平成32年度以降となる。
『自立支援に向けたインセンティブ付け』のこれまでの取り組みは、プロセス評価として、適切なリハビリの計画とその管理に対しての評価(リハビリテーションマネジメント加算)を行ったり、摂食・嚥下障害等の低下が著しい入所者の経口維持支援を多職種による会議などで充実させることに対して評価(経口維持加算)をしてきた。アウトカム評価については、在宅復帰する利用者の割合が高い施設についての評価(在宅復帰・在宅療養支援機能加算)、サービス終了後、社会参加に資する取り組みに移行する割合が高いリハビリ事業所について評価(社会参加支援加算)を実施してきた。
今後、対象とするサービス(居宅サービスか施設サービスかなど)、評価の視点(スクラクチャ、プロセス、アウトカム、およびそれらの組み合わせなど)、アウトカム評価を用いる場合の課題であるインセンティブの趣旨(個人単位の評価か、事業単位の評価か)、用いる指標(要介護に加えて、他の指標についても利点・欠点を整理、相互比較)、インセンティブ不要の方法(加算、基準緩和など)などが検討される。29年4月以降の社会保障審議会介護給付費分科会へ提案、議論される。
『介護ロボット活用の効果検証』のこれまでの取り組みとしては、特別養護老人ホームにおいて見守りセンサーを活用した先行研究を実施するとともに、介護業の効率化、負担軽減効果を分析している。
今後、検討される内容については、先行研究を活かしつつ、開発重点5分野で介護ロボット導入の効果を検証、委託機関は選定中である。また、具体的に介護業務の効率化、負担軽減効果のアウトカム(結果)についてデータ収集、分析を行う。
『介護ロボット開発における連携』のこれまでについては、厚生労働省と経済産業省において自立支援と負担軽減の観点から開発重点5分野を特定。これらの観点から、昨年8月に現場ニーズを踏まえた開発提案を募集(10月に提案内容の決定)。本年1月「ニーズ・シーズ連携協調協議会提案テーマ検討委員会」を開催し議論を実施した。
今後の検討としては、開発重点分野については、現場ニーズなども踏まえて引き続き精査する(見守り、移乗介助、移動支援、排泄支援、入浴支援など)。本年3月にはそれぞれの提案内容について取りまとめる予定である。協議会の結論は、経済産業省(ロボット介護機器開発・導入促進事業)と連携して、ロボット開発に結びつける。
『ニーズ・シーズ連携協調のための協議会』の設置については、開発前の着想段階から介護ロボット開発の方向性について、開発企業と介護現場が協議し、介護現場のニーズを反映した開発の提案内容を取りまとめる協議会を設置する。協議会では、現場のニーズを共有するしたり、既存の介護システムの課題分析、解決策の検討を行うなどし、介護現場で効果的に活用される機器開発に向けた検討を実施する。取りまとめられた提案は「ロボット介護機器開発・導入促進事業」(日本医療研究開発機構)と連携を図り、現場のニーズを踏まえた開発に結びつける。
※詳しくは政策会議ページを参照。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo_iryokaigo_dai5/index.html
この記事の監修者
いいケアネット事務局
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