福祉用具の選び方や利用方法について悩んでいませんか。
本記事では福祉用具の種類と役割を詳しく解説し、適切な用具選びのポイントを解説します。
レンタル可能な用具と購入が難しい特定用具の区別、介護保険の賢い利用方法も本記事でまとめました。
本記事を通して、最適な福祉用具の選び方を把握できるよう解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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福祉用具とは
福祉用具とは、日常生活において支援が必要な高齢者が安全かつ快適に生活を送るために使用される用具や機器を指します。
介護の現場において福祉用具は利用者の自立を促進し、介護者の負担軽減が主な目的です。
また福祉用具は、介護保険制度のもとで一定の条件を満たしていれば、レンタルや購入の際に費用の負担を減らせる仕組みも整備されています。
つまり福祉用具は、単なる物品ではなく利用者の生活の質を向上させるために重要な用具として位置づけられているのです。
参考:厚生労働省「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」
福祉用具の種類と役割一覧
福祉用具の種類と役割は、レンタルが可能なのか困難なのか種類や役割を分けられます。
在宅介護の質を高めるために、福祉用具の種類と役割を把握したい方に向けて解説していきます。
レンタル可能な福祉用具
福祉用具のレンタルは、2025年6月時点で13種類あり、要介護認定を受けていて介護保険制度を利用できる方は基本的にレンタル可能です。
レンタル可能な福祉用具の種類と役割の違いは、以下の通りです。
【レンタル可能な福祉用具の種類と役割一覧】
福祉用具の種類 | 対象 | 役割 |
車椅子 | 要介護2~5 | ・体幹や下肢に障害がある方の移動を支援
・行動範囲の拡大や自立心の向上 ・介護負担の軽減 |
車椅子付属品 | 要介護2~5 | ・クッションや電動補助装置などで車いすの使用を補助
・快適性と安全性を向上 |
歩行器 | 要支援・要介護1~5 | ・歩行を補助し、体重を支えて移動を支援
・車輪付きやシルバーカーなどの種類が豊富 |
歩行補助杖 | 要支援・要介護1~5 | ・ステッキ型や多脚型など、歩行を支援
・安定した移動をサポート |
手すり | 要支援・要介護1~5 | ・歩行訓練や立ち上がりの補助
・転倒防止や安全な移動を支援 |
スロープ | 要支援・要介護1~5 | ・車椅子や歩行器での段差を解消
・安全な移動が可能 |
特殊寝台 | 要介護2~5 | ・電動ベッドによる姿勢の調整が可能
・寝たきりの方の快適さと介護のしやすさを向上 |
特殊寝台付属品 | 要介護2~5 | ・マットレスや手すりなど、ベッドの使用を補助
・快適性と安全性が向上 |
体位変換器 | 要介護2~5 | ・寝返りなどの体位変換を支援
・介助の負担軽減と利用者の快適さを向上 |
床ずれ防止用具 | 要介護2~5 | ・圧力や摩擦を軽減
・床ずれを予防 |
認知症老人徘徊感知機器 | 要介護2~5 | ・徘徊や転倒を防止
・安全性の確保 |
自動排泄処理装置 | 排便機能付き:要介護4~5
その他:要支援・要介護1~5 |
・ベッドでの排泄処理を支援
・介護者の負担を軽減 ・利用者のストレスを軽減 |
移動用リフト | 要介護2~5 | ・移動が困難な方の移動を支援
・介助の負担を軽減 |
関連記事:シルバーカーは介護保険でレンタル可能?料金や歩行器との違いも解説
レンタル困難な特定福祉用具
レンタルが難しい「特定福祉用具」とは、利用者が福祉用具に体が直接触れたり別の方へ再度貸与するのが相応しくなかったりする用具を指します。
特定福祉用具は購入する必要がある福祉用具ですが、介護保険の対象となるため、費用の負担軽減が可能です。
なお、特定福祉用具の種類と役割の違いは以下の通りです。
【特定福祉用具の種類と役割】
福祉用具の種類 | 役割 |
腰掛便座 | ・利用者の排泄を補助する用具
・和式便座を腰掛式に変更するタイプや高さを調整して立ち上がりをサポートする用具がある |
自動排せつ処理装置の交換可能部品 | ・排泄物を貯めるタンク、排泄物が通るチューブ、肌と接触するレシーバー部分を含む |
入浴補助用具 | ・入浴用いす、浴室用手すり、浴室内いす、浴室内すのこ、入浴用介助ベルトなどがある |
簡易浴槽 | ・空気式や折りたたみ式で移動可能
・工事不要で入浴をサポート |
移動用リフトのつり具部分 | ・身体全体を包むタイプや脚部分を別々に包むタイプなどが該当 |
関連記事:介護でのポータブルトイレの使い方は?掃除や処理、捨て方も解説
福祉用具を利用するための手段
福祉用具を利用するにはレンタルか購入で利用できます。
ここからは福祉用具のレンタルと購入、それぞれのメリットとデメリットについて解説していきます。
レンタル
福祉用具のレンタルは、必要な期間だけ用具を借りる方法で、購入するよりも経済的で柔軟な選択肢として多くの方に利用されています。
とくに、短期間のリハビリや一時的な介護が必要な場合にはレンタルが便利です。
なおレンタルのメリットは、必要に応じて用具の交換やメンテナンスができる点で、利用者は最新の状態で安心して用具を使用できます。
また、レンタル業者は定期的に用具の点検をするため、品質や安全性についても安心です。
しかしレンタルした福祉用具は、利用期間が終了したら返却しなければいけません。
傷や汚れがある状態で返却すると、レンタル業者の規約により費用が加算される可能性があるので、利用前に規約を確認しておきましょう。
購入
福祉用具の購入は、レンタルとは異なり長期間にわたって同じ用具を使用できるメリットがあります。
利用者にとって、最適な調整やカスタマイズが可能となり、個別のニーズにより細かく対応できます。しかし福祉用具の購入は、定期的なメンテナンス依頼を含めた管理を自分でしなければいけません。
また、利用者の体型にあっていなかったり症状によって変えたかったりしても、変更対応は困難です。
福祉用具を処分したい事態になった際も、レンタルであれば返却すれば完結します。
一方で購入した福祉用具は、各自治体で定められた処分方法に則って処分する手間がかかってしまうのがデメリットです。
レンタルするよりも初期費用が高くなるので、予算や労力をもとに検討しましょう。
福祉用具を利用する流れ
福祉用具を利用する流れは、まず利用者自身や家族、ケアマネージャーなどが必要性を感じた段階から始まります。
- ケアマネジャーと相談し必要な福祉用具を明確にする
- 福祉用具の種類や利用方法について情報を収集し自治体や事業所に問い合わせる
- レンタルまたは購入の選択を要介護度や使用期間、費用を考慮して決定する
- 事業所での試用や専門家のアドバイスを受け最適な福祉用具を選ぶ
- 利用する福祉用具が決まったら事業所と契約を結び、使用方法やメンテナンスについて説明を受ける
- 定期的にケアマネジャーとコミュニケーションを取り必要に応じて福祉用具の見直しをする
上記の通り福祉用具の利用には、事前の計画と継続的なサポートが不可欠です。
適切な手続きとフォローを受け、利用者の生活の質を向上できるよう相談の機会を増やしましょう。
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福祉用具の種類と役割以外に把握しておきたい項目
福祉用具の種類と役割だけでなく、以下の項目を把握しておくのがおすすめです。
- 自治体の指定した事業所以外でのレンタルや購入は全額負担
- 介護保険を利用してレンタルした福祉用具の購入は保険適用外
- 要介護度によって異なる介護保険の給付額限度
介護保険が適用されるのか、負担額が気になる方はぜひ参考にしてください。
自治体の指定した事業所以外でのレンタルや購入は全額負担
福祉用具を利用する際、自治体が指定する事業所以外でのレンタルや購入は、介護保険の適用外となり、利用者が全額を負担する必要があります。
福祉用具の利用にかかる費用を少しでも抑えたい方は、自治体が指定している事業所かどうかの確認が必要です。
自治体指定の事業所では、介護保険を利用でき適切なアドバイスを受けながら、経済的な負担を軽減しつつ、必要な福祉用具を選べます。
一方で、指定されていない事業所での利用は、レンタル・購入費用だけでなく、メンテナンスや修理の費用も全額負担になるケースが大半です。
福祉用具を利用するにあたって、費用を抑えながら適切なアドバイスを受けたい方は、自治体指定の事業所でレンタル・購入を検討しましょう。
介護保険を利用してレンタルした福祉用具の購入は保険適用外
介護保険制度を利用して福祉用具をレンタルするのは、多くの利用者にとって重要な支援手段です。
しかし、レンタルした福祉用具をそのまま購入する際には注意が必要です。
介護保険は福祉用具のレンタル費用を一部負担する一方で、レンタルした福祉用具を購入する場合、介護保険の適用外、つまり全額自己負担となります。
レンタルした福祉用具を購入したい場合は、費用負担を確認し、予算を検討する必要があります。
福祉用具を購入して長期的なコスト削減を考えている方は、自治体や福祉用具専門相談員に相談しながら検討しましょう。
関連記事:介護保険法をわかりやすく解説|目的や制度の仕組み、最新の改正まで
要介護度によって異なる介護保険の給付額限度
介護保険制度を活用して福祉用具をレンタル・購入する際、利用者の要介護度によって、福祉用具やサービスの給付額が異なるのを忘れないようにしましょう。
たとえば居住サービスを利用する際、要介護度によって以下のように限度額が定められています。
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
また、特定福祉用具を購入する際、要介護度に関係なく毎年4月1日から翌年3月31日の1年間で受けられる給付金の限度額は10万円です。
福祉用具以外で介護保険制度を利用している方は、ケアマネジャーを含めた専門家に相談しながら利用価格を決めていきましょう。
関連記事:家族の介護でもらえるお金は?ジャンル別に9つの制度を解説
福祉用具を選ぶ上でのチェック項目
福祉用具を選ぶ際、費用だけに注目するのではなく、以下の項目を考えながら選択していきましょう。
- 利用者の身体能力や介護の必要性を把握し、必要なサポートを明確にする。
- 日常生活での具体的な課題を洗い出し、対応する福祉用具を検討する。
- 福祉用具の安全性や操作性を確認し、試用が可能なら実際に試してみる。
- 福祉用具が生活空間に適しているかを考慮し、住宅改修や環境調整も検討する。
- 福祉用具の費用や介護保険の適用範囲を確認し、最適な導入方法を選択する。
上記のチェック項目をしっかりと確認しながら、利用者にとって適切な福祉用具を選んでいきましょう。
福祉用具の種類と役割を把握した上で選ぼう!【まとめ】
福祉用具の種類と役割について理解を深めると、利用者や家族が直面する介護の課題に対してより適切な対応ができます。
福祉用具は、身体的な負担を軽減し、生活の質を高めるための重要なツールです。
具体的なニーズにあった福祉用具を選ぶために、実際にレンタル業者や専門家に相談してみてください。
福祉用具の種類と役割だけでなく、レンタルにすべきか購入にすべきか、介護保険の活用方法などを順番に明確にしていきましょう。
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