人生100年時代と言われる現代では、より長く、自分らしく生きるために終活を始める人が増えています。終活は、決して暗い話ではなく、むしろ、自分の人生を主体的に考え、より豊かな日々を送るための大切な準備です。今回は終活やエンデイングノートの書き方について詳しくご紹介します。
なぜ終活が必要なの?
後悔のない人生を送るため、 自分の想いを残し、家族に負担をかけずに最期を迎えたいと考える人が増えています。事前にしっかり準備しておくことで、家族が慌てることなく、故人の想いを尊重したお別れができるので、自分の価値観や希望を整理し、自分らしい最期を迎えることができます。
いつから始める?
終活は、いつから始めるべきかという明確な答えはありません。「早すぎる」ということはなく、ご自身が「今始めたい」と思ったときが、始めるタイミングです。一般的に、60代を過ぎてから始める方が多いですが、近年では、40代や50代から始める方も増えています。大切なのは、ご自身の健康状態やライフプランに合わせて、無理のないペースで始めることです。健康なうちに、できるだけ早めに準備しておくのが理想と言えます。
終活のメリット
終活を行うことで死を意識します。逆説的に今を大切に、不安なく生きることができるようになりますし、事前に準備しておくことで、家族の負担を軽減することができます。自分の想いを残すことで、後悔なく人生を終えることができます。
終活を始める際の注意点
一人で抱え込みすぎると悩んでしまうことが多いです。 家族や専門家など、周りの人に相談しながら進めましょう。焦らず、無理のない範囲で、自分のペースで進めることが大切です。遺産相続や財産分与に法律や税金など、専門的な知識が必要な場合は、専門家へ相談しましょう。
終活の流れを把握しておこう
では、実際に終活を始めていくにあたり、流れを理解しておきましょう。終活は、大きく分けて以下の流れで行います。
①きっかけと目標を明確にする
病気や親の介護をきっかけに始める人が多いですが、健康なうちから始めることも大切です。終活が完成したらどうなっていたいのか?という自分の目標を明確にすることで、具体的な行動に移しやすくなります。
②情報収集
本を読んだり、セミナーに参加したりして終活に関する知識を深めます。専門家(弁護士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなど)に相談することもおすすめです。市町村でも情報提供を行なっているので、自身がお住まいの市町村に相談してみるのも良いと思います。
③具体的な準備(エンディングノートを書く)
エンディングノートを作成します。エンディングノートには、自分の考え方、家族へのメッセージ、財産情報、葬儀や終末医療に関する希望などを記録します。財産整理は、預金、不動産、保険など、自分の財産を把握し、相続について考え、自分の財産をどのように相続させるか、遺言書を作成することで、トラブルを防ぐことができます。葬儀の形式、お墓、戒名など、葬儀に関することも決めておきます。 また、終末期医療に関する自分の考えを明確にし、家族に伝えておきます。
④家族に伝え、更新する
上述の自分の考えを家族に伝え、一緒に話し合いながら決めていくことが大切です。とはいえ、環境によって決断も変わっていくのが当たり前なので、状況の変化に合わせて、定期的・柔軟に見直しを行いましょう。
エンディングノートについて
エンディングノートは、終活の根幹を成すもので、自分の希望や想いを形に残すために重要なノートです。あなた自身の人生を整理するためのツールとしても活用できます。
高齢者にとってのエンディングノートは、大切な家族への思いや、自分自身の終末期を過ごすための手助けになります。
エンディングノートの書き方
エンディングノートには、あなたの思いや希望を自由に書くことができます。ただ、何を書けば良いのか分からないという声も多いようので、以下に代表的な項目を挙げてみます。
1.基本的なプロフィール
自分を整理するための情報を書きましょう。
- 名前(旧姓やニックネームも含む)
- 生年月日や住所
- 家族構成や親しい人の連絡先
- 医療機関やかかりつけ医の情報
この情報は、緊急時やあなたに何かあった際にお役に立ちます。
2.医療や介護に関する希望
病気や介護が必要になった場合の希望を記載します。
- 延命治療の希望:どの程度の医療を望むのか。
- 介護施設の選択:できれば自宅で過ごしたいのか、施設に入ることも考えるのか。
- 認知症になった場合の対応:財産管理や生活支援の希望。
これらを書いておくことで、自分の意志が尊重されやすくなります。
3.財産や重要書類のリスト
財産や契約情報を整理しておくと、残された家族が困りません。
- 暗証番号や口座番号、証券番号:銀行や証券の情報
- 不動産詳細:保有する不動産資産の情報
- 保険や保険の内容
- 借金やローンの有無
書類の保管場所(通帳、印鑑、保険証書など)も明確にしておくと安心です。
4.葬儀やお墓の希望
最期をどのように送りたいと書いておくと、残された家族にとって大きな助けになります。
- 葬儀の規模(家族葬、一般葬など)
- 宗教や形式の希望
- 遺影写真として使って欲しいもの
- お墓や散骨などの供養の方法
「盛大にしなくても良い」「静かに送り出してほしい」などの希望がある場合は遠慮なく書きましょう。
5.家族や友人へのメッセージ
エンディングノートに実務的なことを書くだけではなく、家族や友人に向けた感謝や想いを、自由に書き残すこともできます。
- 「ありがとう」と伝えたい相手へのメッセージ
- 「こうしてくれてありがとう」と感じていること
- 「これからも幸せでいてほしい」といったエール
手紙のように気持ちを伝えることで、あなたの想いがいつまでも残ります。
6.デジタル遺産の管理
現在重要な要素となっているのが、インターネット上の資産やアカウントの情報です。
- SNS(Facebook、Instagramなど)のログイン情報
- メールやネットバンキングのIDとパスワード
- サブスクリプション(動画配信サービスなど)の解約方法
これらを整理しておくことで、家族が処理することが可能となります。忘れずにやっておきたいことですね。
エンディングノートを書く際のポイント
書く際に迷いやすい点やポイントについてもご紹介します。
①無理に全部書こうとしない
エンディングノートは、一度にすべて完了させる必要はありません。全てを一度にやろうとすると挫折してしまいがちなので、数年かけても良いのでゆっくりと内省しながら自分の想いを残していくことが大切です。思いついたときに少しずつ書き足していきましょう。
②定期的に見直す
当たり前のことですが、環境や時代の変化によって状況や考え方が変わることもあります。1年に1回程度、内容を見直して更新すると良いでしょう。
③書きやすい形式を選ぶ
市販のエンディングノートを使っても良いですし、普通のノートやパソコンで作成しても構いません。自分が書きやすい方法を選んでください。市町村などでは終活ノートを配っていたりするので、チェックしてみるのも良いでしょう。
④保管場所を明確にする
家族が見つけやすい場所に保管し、信頼できる人に保管場所を伝えておきましょう。
まとめ
今回は終活の流れとエンディングノートについてご紹介しました。終活はあなただけのために行うことではなく、今までのあなたの人生を形に残して、家族への優しさを示すものです。書き始めるのも、いつ始めても早すぎることはありません。少しずつ自分のペースで記録していくことで、より不安が少なく自分の人生を一生懸命生きることができます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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