国民年金を頼りに生活されている場合、老人ホームには入れないのではないかと感じるかもしれません。しかし、実は国民年金で入れる老人ホームの種類は多岐にわたり、さまざまな支援制度が用意されています。
この記事では、特別養護老人ホームから有料老人ホームまで、国民年金で入れる老人ホームの種類を紹介しています。さらに、介護保険制度や社会福祉法人による負担軽減制度など、費用面でのサポートも詳しく解説します。
この記事を読めば、国民年金で入れる老人ホームの具体的な種類と、入居のためのサポート制度を理解できるでしょう。快適な老後のために、ぜひ最後までお読みください。
国民年金で入れる老人ホームの種類
国民年金で入れる老人ホームの種類には、主に以下の5つがあります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- ケアハウス
- 介護医療院
- 有料老人ホーム
老人ホームには多くの種類があり、それぞれ特色やサービスが異なります。最適な施設を選ぶためには、これらの違いを理解することが重要です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)とは、長期にわたる介護が必要な高齢者を支援する施設です。日本全国には8,414施設があり(令和3年10月1日現在)、地域密着型・広域型・地域サポート型などのタイプが存在します。
特養は原則要介護3以上で入居でき、食事の提供、入浴の介助、レクリエーションなどのサービスを受けられます。
また、特養は公的施設であるため、月額費用が他の施設と比べて安く設定されていることが多く、年金での入居が可能なケースもあります。
参考:厚生労働省『令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況』
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)とは、病気の治療後のリハビリテーションや介護を必要とする高齢者を対象にした施設です。
老健では、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーション、看護師による医療管理などが行われます。老健の費用は、国民年金だけでも支払い可能な場合があります。
ただし、老健は在宅復帰を目的とした施設であり、入所期間の目安は3〜6カ月程度という点には注意しましょう。老健は、医療と介護の組み合わせが特徴であり、一時的なサポートが必要な方に適しています。
ケアハウス
ケアハウスとは、自立した生活を基本として、必要に応じて介護サービスを受けられる住宅型の施設です。ケアハウスでは個々の自立を尊重しつつ、必要な介護サポートを受けられます。
例えば、日常生活の中で必要に応じた介助や、食事の提供、共有スペースでの交流などが可能です。国民年金だけでの入居が可能な施設も存在しますが、場合によっては別途費用が必要になることもあります。
ケアハウスは、比較的自立度が高い方に適した選択肢となります。
介護医療院
介護医療院は、医療と介護の両方のケアが必要な高齢者を対象にした施設です。ここでは、専門の医療スタッフと介護スタッフが協力して、利用者一人ひとりの健康管理や日常生活の支援が受けられます。
具体的には、疾患の診断・治療や薬物療法などの医療サービスと、入浴や食事の介助、身体介護などの介護サービスが受けられます。
介護医療院は、医療ニーズが高い方や、継続的な治療が必要な方に適しています。国民年金を受給している方でも入所が可能ですが、施設によっては追加の費用が発生する場合がありますので、事前に確認しましょう。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、プライベート性の高い住環境と充実したサービスを提供する施設です。これらの施設は民間企業によって運営されており、さまざまなサービスが提供されています。
有料老人ホームは、利用者の自立を重視したサービスが特徴で、レクリエーション活動や趣味の時間など、充実した日常を送ることができます。
一般的に費用は高めですが、多床型や郊外の施設では年金での入居が可能な場合もあります。初期費用や月額費用、その他のオプションサービスの費用については、入居前に詳しく確認しましょう。
国民年金での老人ホーム入居をサポートする制度
国民年金を受給している高齢者やその家族が老人ホームへの入居を検討する際、費用の負担を軽減できる支援制度を活用できます。
以下では、それぞれの制度の詳細について説明します。
介護保険制度の活用
介護保険制度とは、高齢者が必要とする介護サービスを受けられるよう支援する制度です。この制度を利用することで、老人ホームへの入居が経済的にサポートされます。
例えば、介護付き有料老人ホームでは、食事提供や排泄介助などの介護サービスが提供され、これらのサービスには介護保険が適用されます。介護保険サービスを利用するには、要介護認定の申請が必要で、これには申請書の提出や主治医の意見書が求められます。
介護保険は、介護付き有料老人ホームのほか、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの施設で利用できます。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では適用されませんが、外部の介護サービスを利用する場合は介護保険の対象となります。
介護保険制度を活用することで、介護サービスの経済的負担を軽減し、安心して老人ホームでの生活を送ることが可能になります。
社会福祉法人等による負担軽減制度
社会福祉法人等による負担軽減制度は、低所得者の介護費用の負担を軽減することを目的としています。
例えば、特定施設でのサービス利用時に、利用者負担額が一定の割合で軽減されます。軽減される割合は「社会福祉法人等利用者負担軽減確認書」に基づいて計算されます。
この制度は、特別養護老人ホームやショートステイ、通所介護(デイサービス)などの介護サービスに適用されますが、行政に届出をしていない施設では適用されないため注意が必要です。
また、申請に必要な書類や手続きは、利用する施設や市町村によって異なるため、事前に確認しましょう。
参考:埼玉県『社会福祉法人等による低所得者に対する利用者負担額軽減制度』
高額介護サービス費と合算療養費制度
高額介護サービス費とは、1ヵ月間にかかる介護サービスの自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
例えば、所得に応じて設定された負担上限額を超えた場合、その超過分が返金されます。この制度の申請は、市区町村から送られる「高額介護サービス費支給申請書」を使用して行い、申請後に支給決定通知書が届けば、指定の口座に返金されます。
一方、合算療養費制度は、医療サービスと介護保険サービスの自己負担額が一定の限度額を超えた場合に適用される制度です。合算期間は1年間で、同じ医療保険制度に加入している家族の分も合算できます。ただし、高額介護サービス費として既に支給された金額は差し引かれます。
利用方法や申請手続きの詳細については、国民健康保険または後期高齢者医療保険の方は市区町村の窓口へ、協会けんぽや健康保険組合などの方は職場へ相談しましょう。
関連記事:高額介護サービス費とは?基本や計算方法・手続きまでわかりやすく解説
よくある質問と回答
国民年金を受給する高齢者やその家族が、老人ホーム入居に関して抱える疑問に対して、以下で回答します。
国民年金の支給額だけで老人ホームに入れる?
国民年金の支給額だけで老人ホームに入居できるかどうかは、施設によって異なります。なぜなら、老人ホームの種類や提供されるサービスによって、必要な費用が大きく変わるからです。
例えば、特別養護老人ホームなど公的な施設では、入居費用が比較的低く抑えられ、国民年金のみでも入居可能なケースがあります。しかし、介護付き有料老人ホームなどの民間施設では、より高額な料金が発生することが多く、国民年金のみでは足りない可能性があります。
つまり、国民年金だけでの老人ホーム入居は施設選びによって異なり、個別の状況に応じた検討が必要といえるでしょう。
老人ホームの種類によってサービスに差はある?
老人ホームの種類によって提供されるサービスには確かに差があります。各施設はその運営方針や設備、対象とする利用者層に応じて、さまざまなサービスを提供しています。
例えば、介護付き有料老人ホームでは、24時間体制の介護サービスや医療サポートが提供されることが一般的ですが、住宅型有料老人ホームでは基本的な生活支援サービスのみで、介護サービスは外部の事業者との契約が必要です。
また、特別養護老人ホームでは、要介護度が高い高齢者を対象に、医療と介護の両方に対応したサービスが提供されます。
つまり、老人ホーム選びは、利用者の健康状態や必要なサービスに応じて慎重に行うべきです。検討中の施設の具体的なサービス内容については、事前に詳細を確認しましょう。
入居時の初期費用はどの程度必要?
老人ホーム入居時の初期費用は、施設の種類やサービス内容によって大きく異なります。老人ホームによっては入居一時金や保証金など、高額な初期費用が必要となる場合があります。
例えば、民間が運営する有料老人ホームでは、初期費用が数百〜数千万円に達する施設も存在します。しかし、有料老人ホームでは、さまざまな施設やプランがあるため、初期費用が不要なケースも少なくありません。
一方で、特別養護老人ホームや軽費老人ホームなどの公的施設では、初期費用が比較的低額、あるいは不要になることが多いです。ただし、入居には一定の要件を満たす必要があり、待機期間が長くなることもあります。
このように、老人ホームの入居時の初期費用は、施設の種類や提供されるサービス内容、地域によって大きく異なります。老人ホーム選びを検討する際は、具体的な初期費用と月額費用を明確に把握し、家計に合った選択を行うことが重要です。不明な点は施設に直接問い合わせるか、地域のケアマネジャーに相談しましょう。
国民年金で入れる老人ホームの種類【まとめ】
では、今回のまとめです。
国民年金で入居可能な老人ホームの種類としては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、ケアハウス、介護医療院、有料老人ホームといった選択肢があります。ただし、特養や老健など公的施設は入所待ちが長くなる可能性があります。早期入所を希望している場合は、施設数や種類が豊富な有料老人ホームを検討してみましょう。
さらに、介護保険制度や社会福祉法人等の負担軽減制度、高額介護サービス費や合算療養費制度を活用することで、老人ホーム入居時の経済的負担を軽減できることがあります。
介護を考える際、資金計画は非常に重要です。ご紹介した制度を活用しながら、国民年金で入れる最適な老人ホーム選びをしましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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