日本は現在、老年人口と呼ばれる65歳以上の高齢者の割合が25%を超え、4人に1人が高齢者という時代になっています。それに伴い、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の割合も増加しており、深刻な社会問題となっています。
そこで今回はこの「老老介護」についてお伝えします。
老老介護とは
老老介護とは、高齢者の介護を高齢者が行うことを言います。また高齢者とは65歳以上の方のことを言い、主に65歳以上の高齢の夫婦や親子、兄弟などがそれぞれ介護者や被介護者となることを言います。
老老介護の現状
厚生労働省が発表した「令和元年(2019年)国民生活基礎調査」によると、主な介護者は要介護者と同居している方が半数以上を占めています。またその他の結果は以下となっています。
主な介護者の続柄
配偶者 | 23.8% |
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子 | 20.7% |
子の配偶者 | 7.5% |
その他 | 48.0% |
主な介護者の性別
男性 | 35% |
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女性 | 65% |
主な介護者の年齢
60歳以上 | 男性 | 72.4% |
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女性 | 73.8% |
この内で最も多いのは60~69歳で、男性(28.5%) 女性(31.8%)
同居中の主な介護者と要介護者との組合せ
- 70~79歳の要介護者を、70~79歳の方が介護をしている(56%)
- 80~89歳の要介護者を、50~59歳の方が介護をしている(31.6%)
また「60歳以上同士」「70歳以上同士」「75歳以上同士」の組合せも増加傾向にあります。
介護者が介護にかける時間
要支援1~要介護2の場合 | 必要な時に手を貸す程度が多い |
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要介護3の場合 | ほとんど終日が最も多い |
ほとんど終日介護をしている方の傾向
性別 | 男性(約3割) 女性(約7割) |
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続柄 | 女性の配偶者が最多 次いで女性の子 男性の配偶者 |
の順になっています。
老老介護から起こる問題
介護が必要になった場合、身内に介護をしてもらえることは、介護をされる方にとっては安心でメリットがあるように思いますが、問題点もあります。「令和元年(2019年)国民生活基礎調査」結果によると、要介護者がいる世帯は以下の結果になっています。
核家族世帯 | 37.9% |
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単独世帯 | 29.0% |
その他の世帯 | 66.9% |
また年次推移によると「核家族世帯」と「単独世帯」の割合は増加しています。
その影響により「老老介護」だけではなく、認知症の高齢者の介護を認知症の高齢者が行う「認認介護」などの問題も深刻化しています。介護者が高齢となると、さらに心身への負担も大きく、共倒れになる可能性もあります。また外出の機会や他者との交流の機会が減少することで、ストレスをかかえてしまい、介護うつや認知症になるリスクも高まります。
※認認介護については次回のコラムでご紹介します。
また夫婦間で介護を行う場合、被介護者が妻、介護者が夫の場合、「家事が困難」という問題が出てくることがあります。妻が要介護者となるまで、家事のほとんどを妻にしてもらっていた男性が、突然、掃除、洗濯、炊事、ゴミ出し、お金の管理などを行わなければならなくなるのです。介護以上に家事の大変さを訴える方が多いのも男性介護者の特徴となっています。
老々介護の要因
老老介護が増加している要因として、高齢化や核家族化があげられるのは言うまでもありませんが、健康寿命にもその要因があります。
例えば平均寿命が延びる事により、介護が必要な期間も長くなります。
厚生労働省の調査によると日常生活が自立している期間である健康寿命も長くなる傾向にありますが「令和元年(2019年)の高齢社会白書の平均寿命の将推計」では、日本人の平均寿命と健康寿命、介護が必要な期間は以下の結果になっています。
平均寿命 | 男性81.41年 女性87.45年 |
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健康寿命 | 男性72.68年 女性75.38年 |
介護が必要な期間 | 男性8.73年 女性12.06年 |
また今後も男女ともに平均寿命は延び、令和47年(2065年)には、男性84.95年、女性91.35年となり、女性は90年を超えると言われています。
つまり親の介護が必要になった時には子供も高齢期を迎え、老老介護になる可能性があります。
まとめ
今回は老老介護についてお伝えしましたが、2000年に介護保険制度ができて以来、自宅で利用できる介護サービスや、老人ホームなど入居型の施設も増えています。
介護者自身を守るためにも、早い段階から利用可能なサービスの情報を調べ、上手に活用していきましょう。
介護に関する相談窓口については介護に悩んだ際の相談窓口について』の記事をご覧下さい。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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