訪問看護は、自宅でも高齢者施設などでも利用できるサービスです。
そして訪問看護は「介護保険」や「医療保険」を利用してサービスを受けられますが、それぞれの保険を適用するには訪問の時間や回数が決められており、それらの条件を超過してサービスを利用した場合、自己負担となります。
しかし、ある一定の条件を満たすと、例外として定められた時間や回数を超えた部分も保険適用で受けることができます。
その条件となるのが【特定疾病】【別表7】【別表8】と呼ばれるものです。
今回は訪問看護の基礎知識として、この3つの条件の中から【特定疾病】【別表7】についてお伝えします。そして【別表8】については次回のコラムでお伝えします。
どの保険の適用になるのか?
まずは訪問看護を利用する際、その方が罹患されている病気や状況に応じて、利用できる保険が以下の様に決まっています。
※特別訪問看護指示書とは:主治医が診察を行い頻繁な訪問看護が必要だと判断した場合に作成する訪問看護事業所への指示書
【65歳以上の方】
●介護保険の認定済の場合
+別表7に該当+主治医が特別訪問看護指示書を作成 ➡【医療保険】
+別表7に該当しないor主治医が特別訪問看護指示書を作成しない ➡【介護保険】
●介護保険の認定を受けていない ➡【医療保険】
【40歳~64歳の方】
●介護保険の認定済の場合 ※40~64歳の場合、特定疾病に罹患すると介護保険の申請ができます。
+別表7に該当+主治医が特別訪問看護指示書を作成 ➡【医療保険】
+別表7に該当しないor主治医が特別訪問看護指示書を作成しない ➡【介護保険】
●特定疾病+介護保険の認定を受けていない場合 ➡【医療保険】
【40歳未満の方】 ➡【医療保険】
特定疾病(16特定疾病)とは?
続いて介護保険を申請出来る年齢は、基本65歳以上ですが、40歳~64歳の若い方でも以下の16個の疾病に罹患した場合、介護保険の申請ができます。
そしてその16個の疾病を『特定疾病』と呼びます。
- (1)がん(末期がん)
- (2)関節リウマチ
- (3)筋萎縮性側索硬化症
- (4)後縦靭帯骨化症
- (5)骨折を伴う骨粗鬆症
- (6)初老期における認知症
- (7)進行性核上性麻痺
- (8)大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- (9)脊髄小脳変性症
- (10)脊柱管狭窄症
- (11)早老病
- (12)多系統萎縮症
- (13)糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- (14)脳血管疾患
- (15)閉塞性動脈硬化症
- (16)慢性閉塞性肺疾患
- (17)両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。
別表7とは?
次に厚生労働大臣が認める「医療保険による訪問看護が可能な疾病」をまとめた表を「別表7」と言います。
65歳以上、及び40歳~64歳の方で介護保険の認定を受けている場合であっても、別表7の疾病に該当し、主治医が特別訪問看護指示書を作成した場合は「介護保険では無く、医療保険の対象」となります。
介護保険ではなく、医療保険での適用となった場合は、介護保険よりも訪問看護を利用できる回数が多くなったり、複数の訪問看護事業所のサービスを受けられたりするメリットがあります。
このメリットの内容については次回のコラムで【別表7の特例】としてご紹介します。
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【別表7疾病】
- (1)末期の悪性腫瘍
- (2)多発性硬化症
- (3)重症筋無力症
- (4)スモン
- (5)筋萎縮性側索硬化症
- (6)脊髄小脳変性症
- (7)ハンチントン病
- (8)進行性筋ジストロフィー症
- (9)パーキンソン病関連疾患
- (10)多系統萎縮症
- (11)プリオン病
- (12)亜急性硬化性全脳症
- (13)ラインゾーム病
- (14)副腎白質ジストロフィー
- (15)脊髄性症筋萎縮症
- (16)球脊髄性筋萎縮症
- (17)慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- (18)後天性免疫不全症候群
- (19)頸髄損傷
- (20)人工呼吸器を使用している状態
(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)
・線条体黒質変性症 ・オリーブ矯小脳萎縮症 ・シャイ・ドレガー症候群
まとめ
今回は訪問看護の基礎知識として「特定疾病」と「別表7」についてお伝えしましたが、次回は「別表7に該当した場合の特例」「別表8」「別表8に該当した場合の特例」についてお伝えします。
上記の疾病になっても、ご自宅や老人ホームなどで、ご本人や介護をする方の望む生活が継続出来るよう、必要なサービスを取り入れてみましょう。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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