「介護保険制度ってなんだか難しそう」とお悩みの方が多いようです。
『保険』や『制度』という言葉が付くと、難しく感じてしまいますよね。
結論からお伝えすると、介護保険制度を一言で表すなら『介護が必要になった人が適切な介護サービスを受けられるように社会全体で支え合う制度』となります。
今回は、『介護保険制度の仕組み』をはじめ『介護保険で受けられるサービス』『介護保険制度の始まり』や『最新の改正ポイント』など、介護保険制度について詳しく紹介していきます。
「介護保険制度をわかりやすく知りたい!」という方は、ぜひ最後までお付き合いください。
介護保険制度とは、どのような制度?
介護保険制度は、簡単に言うと『介護が必要になった人が適切な介護サービスを受けられるように社会全体で支え合う制度』です。
まずは、介護保険制度について少し掘り下げて解説していきましょう。
介護保険制度の仕組み
介護保険制度は社会保険方式となっており、保険者は市町村です。
被保険者は2種類あり、65歳以上の人を第1号被保険者、国民健康保険や健康保険組合に加入している40歳から64歳までの人を第2号被保険者といいます。
第1号被保険者は年金から天引きされる形で保険料を徴収され、第2号被保険者は健康保険と一緒に保険料が徴収されます。
会社勤めの40歳以上の人なら、給料明細の控除欄に健康保険と並んで『介護保険』と記されていることがあるのでご存じの方も多いでしょう。
要介護認定を受けた被保険者は介護サービスを利用する際に、所得に応じて1割〜3割の利用料を負担し、残りの9割〜7割を保険者の市町村が負担します。
(参考:厚生労働省「介護保険制度の概要」)
介護保険で受けられるサービス
介護保険で受けられるサービスは5つあります。
- 居宅サービス
- 施設サービス
- 地域密着型サービス
- 介護予防サービス
- 地域密着型介護予防サービス
『介護予防』という名称が付いているサービスは要支援認定を受けた人が利用でき、それ以外は要介護認定を受けた人が利用できるサービスです。
ひとつずつ解説していきます。
居宅サービス
居宅サービスは、さらに次の3つに分類されています。
- 訪問型サービス:訪問介護・訪問看護や生活援助など
- 通所型サービス:デイサービスやデイケアなど
- 短期滞在型サービス:ショートステイ
いずれも自宅での生活を主軸として利用できるサービスです。
施設サービス
施設サービスでは、次の3つの施設を利用できます。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設(介護医療院)
自宅での介護が難しい場合に利用したいサービスです。
地域密着型サービス
地域密着型以外のサービスは都道府県が主体ですが、地域密着型サービスは市町村が主体となったサービスです。
市町村が主体となることで、より地域の強みを活かした柔軟な対応が可能となります。
- 小規模多機能型居宅介護
- 夜間対応型訪問介護
- グループホーム
これらのサービスが地域密着型サービスに該当します。
ただし、居住している市町村で提供されているサービスのみ利用可能です。
介護予防サービス
要支援認定を受けた人が利用できるサービスで、要介護状態を予防する目的で提供されます。
ただし、介護予防のために特別なサービスが用意されているわけではありません。
予防を目的としていれば、デイサービスや訪問介護などの一般的なサービスが利用できます。
また、住宅改修や福祉用具のレンタルも介護予防に該当します。
地域密着型介護予防サービス
文字通り、地域密着型と介護予防の特徴を併せ持ったサービスです。
市町村が主体となり、予防を目的とした通所サービスや訪問介護などが提供されます。
介護予防サービスと内容に大きな違いはありませんが、地域で提供されているサービスに特化している点が異なります。
介護保険制度はいつから始まった?
2000年の介護保険法施行をもって、介護保険制度が始まりました。
介護保険制度が始まる前にも、老人福祉法や老人保健法といった高齢者福祉の法律がありましたが、年々加速する少子高齢化社会に適応できないという問題を抱え続けていました。
そこで、社会全体で高齢者の介護を支える仕組みとして、介護保険制度が誕生したわけです。
それまでの『措置』という考え方から『サービス提供』という考え方へシフトし、誰でも必要なサービスを選んで受けられる体制が整いました。
(参考:厚生労働省「日本の介護保険制度について」)
介護保険制度は3年ごとに改正
介護保険制度は時代の変化に対応するため、3年ごとに見直しされます。
先述のとおり日本は年々少子高齢化が進み続けており、著しく変化する社会のニーズや財源確保のために進化が必要です。
3年ごとの改正では自己負担額の見直しや介護サービスの質の向上などを図り、少子高齢化でも適切なサービスが受けられるよう改善されています。
2020年改正・2021年施行のポイント
この記事を執筆している2022年現在では、直近の介護保険制度の改正は2020年、施行が2021年となります。
介護サービスを利用する被保険者が知っておきたい、介護保険制度の改正ポイントは主に次の3つです。
- 福祉用具のレンタル価格の透明化
- 高額介護サービス費支給制度の上限額引き上げ
- 地域包括ケアシステムの推進強化
ひとつずつ解説していきます。
福祉用具のレンタル価格の透明化
福祉用具は本来、介護を必要とする人が利用しやすい価格であるべきです。
しかし、福祉用具は適正価格や相場感といったものが一般的に知られていないため、悪質な業者が価格を吊り上げてしまうことも可能でした。
そこで全国平均の貸与価格を公表し、さらに貸与価格の上限を設定することで、福祉用具レンタルを適正価格で利用できるよう改善されました。
高額介護サービス費支給制度の上限額引き上げ
高額介護サービス費支給制度の上限額が、従来の一律44,400円から年収により自己負担額が増加するように改正されました。
年収が多い人ほど自己負担額が多くなりますが、約770万円未満までは据え置きになります。
高額介護サービス費支給制度とは
介護サービスを利用する際は、定められた自己負担割合に応じて利用料を負担する必要があります。
もし、1ヵ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えてしまったときに、 超過分を払い戻す制度が高額介護サービス費支給制度です。
地域包括ケアシステムの推進強化
介護に関する問題は、介護を受ける高齢者だけではなく介護をする家族側の育児や収入の問題も複雑に絡み合っています。
介護の問題を抱える人を支えるため、従来はバラバラだった相談窓口をひとつにまとめて、相談しやすい地域包括ケアシステムを目指しました。
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、市町村や都道府県が主体となって医療・介護・生活支援などを一体的に提供する仕組みのことを指します。
少子高齢化が進む中でも、高齢者が馴染みのある場所で自分らしい生活を送り続けるために必要不可欠な仕組みです。
まとめ
介護保険制度は『介護が必要になった人が適切な介護サービスを受けられるように社会全体で支え合う制度』です。
これからの日本は介護を必要とする人が増え、支える人が少なくなっていきます。
介護サービスの需要と供給のバランスを整えるためにも、介護保険制度は非常に重要な保険制度となります。
ただし、法律や制度は一般的には少々わかりづらいものです。
介護について困ったことがあるときは、わからないからと一人で抱え込まず、まずは地域包括支援センターへ相談しましょう。
地域包括支援センターへの問い合わせ先は、各市町村のホームページに掲載されています。
厚生労働省の『地域包括ケアシステム』ページから、各市町村のホームページへ移動できますので、ぜひご参照ください。
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この記事の監修者
いいケアネット事務局
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