老人ホーム　入居にかかる初期費用

■入居時にはどんな費用が必要？

ご入居者さまやご家族が有料老人ホームへのご入居を検討する時に、どれくらいの費用がかかるのか、気になることも多いと思います。

老人ホームの費用には、下記2つがあります。

 

・一般不動産でいう敷金のような初期費用

・老人ホーム賃料、介護サービス費用や食費などの毎月かかってくる費用

 

初期費用・月額費用ともに、数ある老人ホームの中からどの種類の老人ホームを選ぶのか。

老人ホームご入居を検討されている方の経済状態やどれだけの介護が必要なのかなどによって金額が異なってきます。

それ以外にも、その老人ホームの都心・郊外などの立地や設備、どれだけの人員を配置しているのかなども料金に影響してきます。

■初期費用ってなに？

今回は、有料老人ホーム入居時にかかる初期費用についてご説明いたします。

老人ホーム入居の初期費用は、入居一時金と呼ばれます。

入居一時金とは、

 

・その老人ホームを生涯にわたり使用する権利を得るための前払い金

・家賃の前払い金

 

入居一時金は有料老人ホームに独特の考え方で、安ければ入居一時金0円の老人ホームから、高いところだと何千万円・何億円という金額の入居一時金が必要となる老人ホームまでその金額は老人ホームによって様々です。

 

多額の入居一時金が必要な老人ホームであっても、その金額は礼金のようななくなる金額ではありません。将来にわたって費用配分=償却されるため、入居一時金が高い分、月々の金額を低く抑えることができる老人ホームもあります。

 

その老人ホームを退去した際には、未償却の入居一時金は老人ホームから返還されます。(初期償却後、未償却分が残っている場合)

ご入居前の資金に余裕がある場合は、そのようなことも考えたうえで老人ホーム選びをするようにしましょう。

 

■償却金額の計算方法や初期償却について

入居一時金の説明で、将来にわたって費用配分=償却と書きましたが、ではその償却はどのような計算でなされるのでしょうか？

償却による返還金は、下記の計算で大まかに計算することができます。

 

入居一時金×(1-初期償却率)×(償却期間-入居月数)÷償却期間

 

正確な算出方法や償却期間は、老人ホームごとに異なるので、きちんと計算する際は各老人ホームに確認を取るようにしましょう。また、初期償却がある老人ホームと初期償却がない老人ホームがあります。

 

初期償却がある場合、初期＝ご入居の際、入居一時金の一部が償却されてしまいます。初期償却がある場合は、償却期間中に退去した場合であっても初期償却分が差し引かれます。

それにより、老人ホームと入居者様の間でトラブルになるケースもあります。

 

老人ホーム側の意向や法改正などもあり、初期償却を採用する老人ホームが減少傾向にあります。初期償却の有無についても、事前に老人ホームに確認をしましょう。

 

■老人ホームの種類による料金の違い

・住宅型有料老人ホームやグループホームなどは、老人ホームにもよりますが通常入居一時金が必要になります。

 

・サービス付き高齢者向け住宅は、一般的な住宅やマンションの賃貸同様に敷金などの金額が必要になります。ここに前払い賃料も含まれます。

 

・特別養護老人ホームは、公的な運営をされており入居一時金が無料になっています。月々の費用に関しても所得によって減額を受けることができることもあります。

 

■「利用権」、「賃貸借」方式の違い

上にあげたような老人ホームごとの入居一時金の違いは権利や形態の違いによって生じます。多くの有料老人ホームが入居一時金のみの中、サービス付き高齢者向け住宅は、敷金が必要となる理由がこの方式の違いによるものです。

 

賃貸借方式とは、一般的な不動産賃貸の契約の際に交わされるものと同じ賃貸借契約の締結のことを言います。そのため、一般的な不動産賃貸借契約同様に敷金が必要となります。

 

利用権方式とは、有料老人ホームを終身利用する権利を老人ホームから買い取るという方式・考え方です。そのため、終身利用権を買い取ったご本人であれば生涯その老人ホームに住み続けることができます。

■クーリングオフについて

契約や購入後に、一定期間内であれば無条件での契約解除が可能となるクーリングオフ制度です。

こちらは、老人ホームご入居の際の入居一時金にも適用されます。

 

有料老人ホームへのご入居を決められてから90日以内であれば、入居一時金を全額老人ホーム側から返還してもらうことが可能です。

 

ただ、老人ホームによっては、一部金額の返還を行わない、居室をクリーニングする料金が別途必要になる、などのケースもありますので、契約の際に、クーリングオフについてはご確認が必要です。

 

■まとめ

老人ホームの入居にあたって必要となる初期費用=入居一時金は老人ホームによって本当に様々です。どのような条件が自分やご家族に適しているのかをしっかりと考えたうえで老人ホームを選びましょう。